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Linux 7.2、UltraRISC RISC-V対応をデフォルトビルドで有効化

Linux 7.2のRISC-V defconfigにUltraRISCサポートが標準搭載。UR-DP1000 SoC(8コアC100)が対象となり、エコシステムの拡大が進む。

7分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

Linux 7.2、UltraRISC RISC-V対応をデフォルトビルドで有効化
Photo by Louis Tsai on Unsplash

PhoronixのMichael Larabelの報道によると、Linux 7.2カーネルにおいて、UltraRISCのRISC-V SoC(システム・オン・チップ)サポートがデフォルトのカーネルビルド設定(defconfig)に追加された。この変更は、Linux 7.2-rc3の週次テストリリースを目前に控えたタイミングでマージされたRISC-V修正群の一部である。

同カーネルでは既にEswinのSoCサポートがRISC-V defconfigでデフォルト有効化されていたが、今回のパッチによってUltraRISCのハードウェアも標準ビルドの対象に加わった。これにより、RISC-Vアーキテクチャ向けのデフォルトカーネルがより多くの実機に対応することになる。

デフォルトカーネルビルドへの統合

Linux 7.2でマージされたパッチは、ARCH_ULTRARISC というKconfigオプションを追加するものだ。このオプションは、本来マージウィンドウ(新機能受け入れ期間)が閉じた後の遅いタイミングでの追加となったが、既に一部のドライバから参照されていた経緯がある。Phoronixによれば、パッチはLinux Gitリポジトリに短期間前にマージされた。

Linux 7.2では、RISC-V向けのデフォルトビルド設定(defconfig)において、CONFIG_ARCH_ULTRARISCが有効化される。つまり、ユーザーが特別なカーネル設定を施さなくても、UltraRISCのSoCを搭載したボードで動作するカーネルがコンパイル可能になる。これは、RISC-Vエコシステムにおけるハードウェアサポートの標準化が進んでいることを示す。

同様の動きとして、Linux 7.2ではEswinのSoCも既にデフォルト有効化されている。Eswinは中国の半導体企業で、RISC-VベースのSoCを手がける。今回のUltraRISCの追加により、defconfigで対象となるRISC-V SoCベンダーはさらに拡大した。

UltraRISC UR-DP1000の詳細

UltraRISCが提供するSoCは、現時点では「UR-DP1000」である。このチップは、8個の「UltraRISC C100」コアを搭載している。C100コアの詳細なマイクロアーキテクチャは公表されていないが、RISC-V命令セットに準拠したプロセッサコアである。

UR-DP1000は、組み込みシステムやエッジコンピューティング向けの用途を想定したものと見られる。Linuxカーネルのデフォルトビルドでサポートされることで、当該SoCを用いた製品の開発効率が向上する。開発者は、自前でカーネル設定を追加することなく、標準的なRISC-V defconfigをそのまま活用できる。

RISC-Vエコシステムへの影響

Linux 7.2では、RISC-Vアーキテクチャ向けにCache Aware Scheduling(CAS)の拡張も導入されている。既報のLinux Cache Aware Scheduling拡張、MySQL最大360%高速化で詳述されている通り、この機能によりキャッシュトポロジを考慮したタスクスケジューリングが可能となり、データベース処理などで大幅な性能向上が確認されている。UltraRISCのSoCがLinuxのデフォルトカーネルで動作するようになることと、こうしたスケジューリング最適化は相互に補完する関係にある。

また、Linux 7.2-rc1ではAMDGPU HDMI 2.1 FRLやCache Aware Schedulingなど多岐にわたる機能が統合された。RISC-Vデバイスがこれらの最新機能の恩恵を受けられるかどうかは、ベンダーのドライバサポートに依存するが、少なくともカーネル本体のビルド設定が拡充されたことで、コミュニティによるテストと検証のハードルは下がったと言える。

UltraRISCのような新興RISC-Vベンダーが、メインラインカーネルのデフォルトビルドに含まれることは、エコシステムの成熟度を示す指標の一つである。従来、RISC-V向けLinuxカーネルは特定のボード向けにカスタムビルドが必要な場合が多かったが、defconfigの充実により、より汎用的なビルドが動作する基盤が整いつつある。

編集部の見解

短期的には、この変更によりUltraRISCのUR-DP1000を搭載したボード上で、標準的なLinuxディストリビューションのブートが容易になる。開発者はカーネルコンフィグレーションに悩むことなく、すぐにソフトウェアスタックの評価に移れる。Linux 7.2の安定版リリース後、RISC-V向けのジェネリックカーネルイメージが提供される可能性もあり、その場合はクラウドやエッジでの利用が加速するだろう。 長期的な視点では、RISC-V向けdefconfigへのベンダー追加が続くことは、同アーキテクチャの汎用コンピューティングプラットフォーム化を後押しする。ARMがサーバー市場で一定の地位を築いたように、RISC-Vもまた、標準カーネルベースの共通プラットフォームを獲得することで、ソフトウェアエコシステムの厚みを増していく。ただし、デスクトップやサーバー用途への本格展開にはハイパフォーマンスコアの実現と周辺ドライバの充実が不可欠であり、その道のりはまだ長い。 編集部としては、UltraRISCのような中堅ベンダーがメインラインカーネルに積極的に取り込まれている点に注目したい。

参考

よくある質問

UltraRISCのUR-DP1000はどのような用途を想定しているか
UR-DP1000は8コアのRISC-V SoCであり、主に組み込みシステムやエッジコンピューティング向けと見られる。デフォルトカーネルサポートにより、評価ボードでのLinux動作確認や産業用制御機器への採用が促進される可能性がある。
Linux 7.2のRISC-V defconfigには他にどのベンダーが含まれているか
今回の変更以前に、EswinのSoCサポートが既にデフォルト有効化されている。これらの追加により、標準ビルドで動作するRISC-Vボードの選択肢が拡大している。
この変更は一般ユーザーにどのような影響を与えるか
一般ユーザーがRISC-Vデバイスを購入した際、カスタムカーネルをビルドしなくても標準のLinuxディストリビューションが動作する可能性が高まる。開発者にとっては評価コストの低下、エンドユーザーにとってはデバイスの互換性向上につながる。
出典: Phoronix

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