SpaceX史上最大IPO、初日19%高 時価総額約9兆円に
SpaceXが史上最大のIPOを実施。555.6百万株を1株135ドルで公開し750億ドルを調達。初日終値は160.95ドルと19%上昇し、時価総額は約9兆円に達した。
米宇宙企業SpaceXが6月12日、ナスダック市場に上場した。同社は555.6百万株を1株135ドルで公開し、約750億ドル(約11.4兆円)を調達。これは史上最大の新規株式公開(IPO)となり、初日の株価は公開価格を19%上回る160.95ドルで引けた。
SpaceXは2002年の創業以来、再利用可能ロケット「ファルコン9」の商業運用や、衛星インターネット網「Starlink」の構築で知られる。創業者兼CEOのイーロン・マスク氏の保有株価値はこのIPOにより急増し、世界初のtrillionaire(兆万長者)になるとの試算もある。
IPOの内訳
公開された555.6百万株の内訳は、既存株主による売出しが中心だ。SpaceX自体が新株を発行して調達した資金は一部にとどまり、多くは創業者や初期投資家の利益確定売りとなる。同社の評価額はIPO時点で約7,500億ドルに達した。
主幹事はゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが務めた。ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、引受手数料総額は約5億ドルに上る。
初日の取引動向
SpaceX株は公開価格135ドルに対し、初値は150ドルと11%の上昇で寄り付いた。その後も買いが続き、引け値は160.95ドル、上昇率は19%に達した。取引時間中には30%以上の上昇を見せる場面もあった。
出来高も記録的な水準で、ネット証券Robinhoodは「SpaceXの上場後数時間で自社プラットフォーム上で過去最高のトラフィックを記録した」と発表した。個人投資家の関心の高さを裏付ける結果となった。
COOショットウェル、Teslaとの合併に言及
CNBCのインタビューに応じたSpaceXのCOO、グウィン・ショットウェル氏は注目すべき発言を残した。「SpaceXとTeslaの合併は、マスク氏の生活を少し楽にするかもしれない」と述べ、両社の統合可能性に初めて言及した。
ショットウェル氏はSpaceXの日常業務を実質的に統括する経営者であり、マスク氏のTesla兼任がもたらす負担軽減策としての合併構想を語ったものと見られる。ただし、現時点で具体的な交渉や計画が存在するかは明らかにされていない。
グリーンシューオプション行使の可能性
IPO契約には通常、需要が旺盛な場合に引受証券会社が当初計画の最大15%多い株式を追加発行できる「グリーンシューオプション(追加割当権)」が含まれる。SpaceX社内では、この条項を意識して緑色の靴を履いた写真がSNSに投稿され、マスク氏もこれを再投稿した。
初日の株価上昇と出来高を踏まえるれば、引受証券会社がこのオプションを行使し、さらに資金調達額が増える可能性がある。決定は数週間以内に下される。
Starlinkの収益貢献
IPOの成功の背景には、Starlinkの急成長がある。SpaceXはこれまでに6,000基以上のStarlink衛星を打ち上げ、全世界で数百万人の加入者を獲得した。同サービスの年間収益は既に数十億ドル規模に達していると推定され、SpaceXの企業価値を押し上げる主要因となった。
打ち上げ事業単体では政府契約や商業打ち上げに依存する部分が大きいが、Starlinkは一般消費者向けの安定した継続収益源として評価されている。投資家はこのビジネスモデルの拡大可能性に強く注目している。
編集部の見解
短期的には、SpaceX株の初日パフォーマンスは強い需要を示した。公開価格135ドルに対する19%の上昇は、大型IPOとしては異例の好成績だ。Robinhoodでのトラフィック急増に見られるように、個人投資家の参入が活発である。ただし、既存株主による大量売却が控えているため、初動の興奮が冷めた後の株価安定性には注意が必要だ。6カ月以内のロックアップ解除時期に、大口売りが出れば一時的な下落要因となり得る。
長期的な視点では、SpaceXが宇宙産業を「インフラ産業」に変えた点が最も重要だ。Starlinkが地上の光ファイバーと競合するブロードバンドサービスとして定着し、Starshipによる大型輸送が軌道に乗れば、宇宙へのアクセスコストは劇的に低下する。他の新興宇宙企業との差はさらに広がる。完全再使用ロケットの実用化から10年、民間宇宙開発の民主化がIPOという資本市場の裏付けを得た形だ。
編集部として注目すべきは、ショットウェル氏のTesla合併発言の真意だ。経営効率化の口実に見えるが、技術的なシナジー(電気自動車のバッテリー技術と宇宙機の電源管理、工場自動化とロケット量産など)は確かに存在する。合併が現実化した場合、両社の製品ポートフォリオは自動車・宇宙・AI・エネルギーを横断する巨大複合企業体に変わる。同時に、マスク氏への権限集中が一層進むリスクも否定できない。市場はこの発言をどの程度真剣に受け止めているのか、今後の開示に注目したい。
参考
- SpaceX IPO: Live updates on everything you need to know - TechCrunch — 2026-06-12公開
- Nasdaq公式SpaceX株式情報 — ※実際のティッカーシンボルは未確認のため、一般向け検索ページを参照
よくある質問
- SpaceXのIPOで調達した資金は何に使われるのか?
- 今回のIPOは既存株主の売出しが中心であり、SpaceX本体が受け取る新規調達資金は一部に限られる。調達資金はStarshipの開発加速やStarlinkの衛星増設、地上局インフラの拡充に充当されると見られる。
- 個人投資家はどうやってSpaceX株を買えるのか?
- ナスダック市場に上場しているため、国内のネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)で米国株取引口座を開設すれば購入可能。ただし、米国株の取引手数料や為替手数料に注意が必要。Robinhoodなどの米国証券でも取引できる。
- マスク氏は本当に世界初のtrillionaireになるのか?
- 推定純資産額はSpaceX株の時価総額とTesla株、xAI株などの保有分に依存する。IPO直後の株価水準では、マスク氏の保有株価値は1兆ドルを超える可能性がある。ただし、紙上の含み益であり、実際に売却して現金化する際には課税や市場への影響が生じるため、単純な「兆万長者」認定は慎重に扱うべきだ。
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