Google、自撮り動画でアカウントサインイン可能に
パスワード紛失や2FA機器がない状況でもアカウントにアクセスできる新たな認証方式。事前に登録した顔動画と照合する。
Googleは2026年7月23日、アカウントにアクセスする新たな手段として「selfie video(自撮り動画)」機能を発表した。これは、パスワードを忘れた場合や、通常使用しているスマートフォン・PC・二要素認証アプリにアクセスできない状況で、本人確認を目的に設けられた仕組みである。
The VergeのAndrew Liszewski記者が報じたところによれば、selfie videoはユーザーがモバイル端末またはPCのカメラで自身の顔を短時間撮影し、その映像をあらかじめGoogleが保管する参照用動画と比較することで、アカウントの正当な所有者であることを証明する。
設定方法と技術的仕組み
設定手順は、カメラに向かい、画面上の指示に従って簡単な頭部の動きを行うだけである。これにより複数の角度から顔が撮影される。AppleのFace IDのようなセキュリティ機能の設定手順と類似するが、赤外線照射を必要としない点が異なる。
参照用の動画は、暗号化された状態でクラウドに保存される。この方式により、動画を作成した特定のデバイスに限定されず、複数の端末からアクセスできる。保存された参照動画は、ユーザーがアカウント設定からいつでも削除可能である。デフォルトではサインイン目的のみに使用されるが、Googleは「追加目的での共有を選択することもできる」と説明している。
ログイン時の動作
アカウントへのログイン時には、再び短い動画を撮影し、顔の簡単な動きを行う。これによりライブ撮影であることを証明するとともに、保存済みの参照動画と正確に照合される。Googleは、写真やディープフェイク動画を用いたなりすましを防ぐため、複数のセキュリティ層を実装していると述べる。同社の標準的なセキュリティ慣行に基づき、不審なサインイン試行は遮断される。
提供開始と確認方法
本機能は段階的なグローバルロールアウトにより、徐々にユーザーに提供される。自身のアカウントが対象かどうかを確認し、設定を行うには、専用URL(g.co/signin-selfie)にアクセスする。
編集部の見解
短期的には、パスワードレス認証の選択肢が増えることで、アカウントロックアウト時の復旧時間が大幅に短縮される可能性がある。特に2FAデバイスを紛失した場合のバックアップ手段として実用性は高い。ただし、生体情報をクラウドに保存することへのプライバシー懸念は避けられず、エンタープライズ環境では導入に慎重な企業も出てくるだろう。
長期的視点では、動画ベースの生体認証が深層偽造技術の進化に耐え得るかが最大の論点となる。Googleが主張する多層セキュリティの実効性が証明されれば、同様の方式が他のプラットフォームにも波及する可能性がある。一方で、顔映像をクラウドに保管するというモデル自体が、規制当局の監視対象となることも予想される。
編集部としては、この機能が本当にディープフェイク攻撃を現実的に阻止できるのか、第三者による検証結果を待ちたい。また、オプトインによる共有目的の拡大がどのような用途を想定しているのか、Googleの透明性が問われる。単なる利便性向上か、あるいは広告ターゲティングへの応用を見越したものか、明確な説明が求められる。
参考
- 「Google now lets you sign in to your account using a selfie video」, by Andrew Liszewski — The Verge, 2026-07-23T10:00:00.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://www.theverge.com/tech/969361/google-account-sign-in-selfie-video-security
よくある質問
- この機能はいつから使えるのか
- 段階的なグローバルロールアウトとして順次提供される。自分のアカウントが対象かどうかは、g.co/signin-selfieにアクセスして確認できる。
- ディープフェイク動画でのなりすましは防げるのか
- Googleは、写真やディープフェイクを用いたなりすましを防ぐため複数のセキュリティ層を実装していると説明する。具体的な手法は公開されていないが、ライブ撮影の証明と参照動画との照合により対策を施している。
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