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BYD、欧州に5分充電器3000基 2027年までに展開

BYDが欧州で超急速充電器「Flash Charger」を3,000基設置する計画を発表。出力1,500kW、5分で70%充電を実現。Tesla V4の3倍の出力だが、対応車両は現時点で1車種のみ。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

BYD、欧州に5分充電器3000基 2027年までに展開
Photo by Ansis Kančs on Unsplash

中国のEV大手BYDは、欧州市場での攻勢を加速させるため、超急速充電器「Flash Charger」の大量導入計画を発表した。The Vergeの報道によれば、BYDはすでにドイツと英国で最初の充電器を設置済みで、2027年末までに欧州全域で3,000基を展開する方針だ。

Flash Chargerの出力は1,500kWと、TeslaのV4 Supercharger(500kW)の3倍に達する。ただしTeslaは欧州ですでに20,000基の充電器を運用しており、設置基数では依然として差がある。BYDの急速充電網がカバー範囲でTeslaに対抗できるかは、今後の設置ペース次第となる。

投資規模と充電方式

Financial Timesの試算によれば、充電器1基あたりのコストは約€580,000(約$670,000)で、3,000基の総投資額は約$2 billion(約2,000億円)にのぼる。これは単なる充電スタンドの設置コストであり、土地取得や電力インフラの整備費用は別途必要となる可能性がある。

Flash Chargerの特筆すべき点は、蓄電池を内蔵していることだ。充電器自体がバッテリーを介して電力を供給するため、系統電力網への負荷を平準化できる。夜間など需要の低い時間帯にバッテリーを充電し、昼間の急速充電需要に対応する仕組みで、電力会社との調整コストを抑える意図があると見られる。

対応車両の制約

Flash Chargerは標準的なCCS充電ポートを備えた任意のEVが利用可能だが、最高速度での充電はBYDが自社開発した「Blade Battery」を搭載する車両に限定される。現時点でこの条件を満たす欧州向け車両は、高級サブブランド「Denza」のZ9 GTのみだ。価格は€115,000(約$133,000)と高額で、当面は富裕層向けモデルが急速充電のメリットを享受する形となる。

BYDはDenza Z9 GTがFlash Chargerで5分間の充電により70%まで急速充電できると発表している。この性能を実現しているのが、リン酸鉄リチウム(LFP)系のBlade Batteryの特性であり、従来の三元系リチウム電池と比較して熱安定性に優れ、急速充電時の発熱を抑制できる。

競合環境と今後の展開

欧州の急速充電市場では、TeslaのSupercharger網に加え、Ionity(BMW・Mercedes-Benz・Ford・VWグループの合弁)、Fastned、Allegoなど複数の事業者がしのぎを削っている。BYDは自社充電網の整備により、販売チャネルと充電体験を一体化させる戦略だ。BYDが世界販売台数でTeslaを上回ったことは広く報じられており、欧州でも同様の勢いを維持するための布石と見られる。

ただし、1,500kWという出力は現在の欧州の電力配電網にとって大きな負荷となる可能性がある。BYDはバッテリー内蔵方式でこの問題を緩和するとしているが、各拠点の電力会社との接続契約や許認可の取得には時間を要する。The Vergeの記事では設置計画の具体的なスケジュールは示されていないが、2027年末までの3,000基達成はかなり野心的な目標と言える。

編集部の見解

BYDのFlash Charger計画は、単なる充電インフラ投資ではなく、欧州市場でのブランド確立と販売拡大のための戦略的布石だと評価できる。特に自社充電網を持つことで、販売チャネルと充電体験を一貫してコントロールできる点はTeslaと同様の優位性を生む。短期的には、2026年末までに数百基程度の設置が現実的な目標であり、設置規模の拡大と並行して対応車種の拡充が進むかが成否の鍵となる。

長期的な視点では、1,500kW級の超急速充電が普及すれば、従来のガソリンスタンドでの給油時間に近い充電体験が実現する可能性がある。ただし、対応車両が現時点で1車種のみであること、そしてBlade Battery搭載車両のラインナップが欧州で十分に拡大していないことは課題だ。BYDが欧州向けに廉価帯のBlade Battery搭載車を投入するのか、それともDenzaブランドで高級路線を拡大するのか、動向を注視する必要がある。

編集部からは、BYDの充電器がCCS規格に対応しているとはいえ、最高速度を発揮するには自社バッテリーが必要という点が、オープンな充電インフラとしての価値を制限しているのではないか、という問いを提示したい。他社製EVが250kW程度で充電する一方、BYD車だけが1,500kWを享受する環境は、ユーザー体験の分断を招く可能性がある。欧州の規制当局がこの点をどのように評価するかも、今後の行方を左右する要素だ。

参考

よくある質問

BYDのFlash Chargerはどの車でも使えますか?
CCSコネクタを備えたすべてのEVが利用可能です。ただし、最大速度(5分で70%充電)を出すにはBYDのBlade Battery搭載車が必要で、現時点ではDenza Z9 GTのみ対応します。
TeslaのSuperchargerと比べてどうですか?
出力はTesla V4(500kW)の3倍の1,500kWですが、設置基数ではTeslaが欧州で20,000基なのに対し、BYDは2027年末までに3,000基の計画です。また、充電器自体に蓄電池を内蔵して系統負荷を軽減する点が異なります。
充電器1基の設置費用はいくらですか?
Financial Timesの試算によれば約€580,000(約$670,000)、3,000基で総額約$2 billionと見積もられています。
出典: The Verge

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