AMD、Linux 7.2でUFSホストコントローラドライバに初対応
Linux 7.2カーネルで、UFSホストコントローラPCIドライバ「ufshcd-pci」に初めてAMDデバイスIDが追加される。Intel専用だったサポートが拡大する。
Phoronixの記事によると、Linuxカーネルの汎用フラッシュストレージ(UFS)ホストコントローラPCIドライバ「ufshcd-pci」に、初めてAMDのデバイスIDが追加されることが明らかになった。この変更は、現在開発中のLinux 7.2カーネルサイクルに組み込まれる予定だ。
これまでIntel専用だったドライバ
ufshcd-pciドライバは、PCIバスに接続されたUFSホストコントローラを抽象化する役割を担う。UFSはスマートフォンやタブレット、一部のノートPCで広く使われる高速ストレージインターフェースで、従来のeMMCより高い転送速度を実現する。このドライバはこれまでIntel製デバイスのみをサポートしてきたが、今回のパッチで状況が変わる。
先週、AMDのエンジニアがLinuxカーネルメーリングリストに投稿したパッチは、AMDのUFSコントローラ向けPCIデバイスID「0x1B29」を追加するものだ。このIDは、同ドライバに追加される初の非Intel製品となる。パッチ自体はベンダーIDとデバイスIDの追加以外の変更を必要とせず、ドライバの共通部分には手が加えられていない。
既存のAMD UFSドライバとの関係
Linuxカーネル内にはすでに「ufs-amd-versal2」というUFSホストコントローラドライバが存在する。これはAMDのVersal2 SoC向けに実装されたものだ。今回のufshcd-pciドライバへの追加は、Versal2以外のAMD製品向けである可能性が高いとPhoronixは指摘する。パッチのコミットメッセージには、このデバイスIDが具体的にどの製品に紐づくのか詳細な説明はない。
当サイトも過去に報じた「Linux 7.1-rc7、AMD Zen 6 CPUモデルを拡張」の記事でも触れたように、AMDはLinuxカーネルへの対応を積極的に進めている。ストレージ周りでも、同社のクライアント向けCPUやGPU向けのチップセットにUFSコントローラが統合される可能性を示唆する動きと言える。
Linux 7.2への影響と見通し
パッチはすでにレビューを経て適用済みであり、Linux 7.2マージウィンドウでの取り込みが確認されている。Linux 7.2は、当サイトの別の過去記事「NVIDIA Novaドライバ、Linux 7.2で本格始動」でも報じたように、複数の新機能が投入されるメジャーリリースとなる。今回のAMD UFS対応により、今後のAMD搭載システムでLinuxをネイティブに動作させる際のストレージ互換性が向上することが期待される。
AMDがこのドライバ対応をいつから計画していたのかは明らかではないが、Intelのみに依存していたドライバがオープン化されることで、カーネル開発コミュニティ全体にとってもポジティブなニュースと言える。特に、UFSをストレージに採用するAMDベースのノートPCや組み込み機器が市場に投入される際、標準カーネルでそのまま動作する基盤が整うことになる。
現時点では、AMDが具体的にどの製品ラインでUFSコントローラをPCI接続するのかは不明だが、同社のRyzenシリーズや次世代チップセットへの統合が考えられる。今後、Linux 7.2リリース後のベンダーからのフィードバックや、追加パッチの投稿によって詳細が明らかになるだろう。
編集部の見解
短期的影響
今回のパッチは、Linux 7.2のリリース後3〜6ヶ月の間に、AMDベースのノートPCやミニPCでUFSストレージを活用するユーザーにとって直接的なメリットをもたらすと見る。特に、ストレージの高速化を求めるクリエイター向けノートやエッジコンピューティング用途で、OSインストール時のドライバハードルが下がる。ただし、現時点では該当するハードウェアが市場に出回っていないため、効果が顕在化するのはハードウェアのリリース後と評価できる。
長期的視点
1〜3年のスパンでは、AMDがUFSコントローラを標準IPとして採用する製品群を拡大する兆候と解釈できる。Intelが長年リードしてきたUFSホストコントローラのLinux対応に、競合であるAMDが参入することで、カーネルレベルでのプラットフォーム中立性がさらに強化されるだろう。また、この動きはスマートフォン向けSoCだけでなく、PC向けAPUや組み込みSoCへの展開も予感させる。もしAMDがUFSをZenアーキテクチャのバリエーションに統合すれば、ストレージの選択肢が広がり、Linuxユーザーにとってのエコシステムの厚みが増す。
編集部からの問い
今回のパッチが示唆する具体的な製品像は依然としてベールに包まれている。AMDがUFSコントローラをPCI経由で接続する製品とは、次世代のRyzenモバイル向けチップセットなのか、それとも別の新カテゴリのプロセッサなのか。さらに、対応初期では安定性やパフォーマンス面でIntel製と同等のチューニングが施されるのか、注目したい。読者の皆様は、AMDのUFS戦略が今後のLinuxストレージエコシステムにどのような影響を与えるとお考えだろうか。
参考
- Phoronix「AMD Support Being Added To UFS Host Controller PCI Driver In Linux 7.2」— 2026-06-08公開 https://www.phoronix.com/news/AMD-ufshcd-pci-Linux-7.2
- Linuxカーネル公式メーリングリストアーカイブ(該当パッチ)
よくある質問
- ufshcd-pciドライバとは何ですか?
- ユニバーサルフラッシュストレージ(UFS)ホストコントローラをPCIバス経由で制御するLinuxカーネルドライバです。高速ストレージであるUFSをシステムから利用可能にする役割を持ち、これまではIntelデバイスのみをサポートしていました。
- 今回の変更でAMDのどの製品がサポートされますか?
- パッチではAMDのUFSコントローラ向けPCIデバイスID「0x1B29」が追加されましたが、具体的な製品名は明らかにされていません。既存のVersal2 SoC向けとは別の、非VersalAMD製品向けと推測されています。
- この変更はいつ頃Linuxに取り込まれますか?
- パッチはすでに適用済みで、Linux 7.2カーネルサイクルへの提出が確認されています。Linux 7.2の正式リリースは通常、マージウィンドウ後に数週間のテスト期間を経て公開される見込みです。
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