Europol、The Com関連の過激URL4,340件を特定・削除要請
Europolと加盟国捜査機関はオンライン犯罪ネットワーク「The Com」に関連する4,340件の過激なURLを特定し、削除を要請した。リクルート行為とプロパガンダ拡散の阻止が目的で、暴力的な動画や児童性的虐待素材などが含まれる。
Europol(欧州連合刑事警察機構)は2026年7月24日、オンライン犯罪ネットワーク「The Com」に関連する4,340件のURLを特定し、削除要請を行ったと発表した。これは6月から7月にかけて実施された集中的な取り締まりの一環であり、未成年者のリクルート行為と暴力的なプロパガンダの拡散を阻止することを目的としている。
The RegisterのJessica Lyonsの報道によれば、Europolとその協力機関は、Project Compass作戦の枠組みで「Referral Action Days」と称する一連の活動を展開。The Comのオンラインエコシステムを解体し、そのプロパガンダの拡散を止めることを狙っている。
The Comとは何か
The Comは「Community」の略称であり、ハッキング、スワッティング、デジタル恐喝から実世界での銃撃、刺傷、その他の身体的暴力に至るまで、幅広い違法行為に及ぶ若年層のネットワークである。緩やかに結合したオンライングループの集合体であり、厳格な組織構造を持つわけではないが、共通の規範とステータス競争によって結束している点が特徴だ。
このネットワークはソーシャルメディア、ゲームプラットフォーム、メッセージングアプリを活用して新たなメンバーを勧誘し、同時に脆弱な未成年者をグルーミング(性的搾取を目的とした接近行為)の標的にしている。Europolは「ユーザーやグループが制作・強要できるコンテンツが過激で有害であればあるほど、オンラインコミュニティ内での地位が高まる」と指摘する。これらの行為はソーシャルメディア上でライブ配信されることが多く、傍観者がこれを煽り、後に保存・拡散される構造だ。
標的となったコンテンツの詳細
今回の取り締まりで特定されたURLには、自傷行為、自殺、児童性的虐待素材(CSAM)、動物虐待、暴力的な攻撃を描写する動画や画像が含まれていた。特に注目すべきは「ブラッドウォール(血の壁)」と呼ばれるコンテンツである。これは恐喝者の別名とグループの所属を血で描いた絵画であり、被害者が自らの体に恐喝者の名前を刻まされる「カットサイン」も確認されている。
さらに、街頭での襲撃や放火の動画、これらの暴力的攻撃を実行するためのマニュアル、脆弱な未成年者をグルーミングし恐喝するための指示書、ドキシング(個人情報の公開)やスワッティング(虚偽の緊急通報による警察出動の誘発)の方法を解説する文書も含まれていた。これらの素材は、単なる犯罪の記録ではなく、新たな参加者を勧誘し、ネットワーク内での地位を競うためのツールとして機能している。
組織的な対策と参加国
Europolの欧州対テロセンター(ECTC)は、過去2年間に加盟国などから「数百件」の要請を受け、The Comに関連する犯罪の捜査を支援してきた。Europolはこのオンラインネットワークを「世界的な脅威であり、特に被害者と加害者の両方として未成年者が関与する点で深刻」と評価している。
今回のReferral Action Daysには、ベルギー、フィンランド、ハンガリー、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデンの捜査機関が参加した。Project Compass作戦は2025年に開始され、米国、英国、EU加盟国の法執行機関がパートナーとして連携している。
若年層のリクルートの実態
The Comの最も憂慮すべき側面は、その勧誘手法と若年層への影響力にある。昨年、英国と米国の当局は、The Comの一部が契約殺人や実世界での暴力行為のために子どもや10代の若者を勧誘していると警告を発している。ソーシャルメディアやゲームプラットフォームは、匿名性の高いコミュニケーションを可能にするため、こうした活動の温床となっている。
犯罪行為の実行をライブ配信し、その録画を拡散するという行為は、単なる自己顕示欲の充足にとどまらない。コミュニティ内での認知とステータス獲得のための実質的な手段であり、より過激で残忍なコンテンツの制作を促進する悪循環を生み出している。
編集部の見解
今回のEuropolによる大規模なURL特定は、オンライン上の違法コンテンツ対策として重要な前進と評価できる。しかし、The Comのような緩やかなネットワークは、削除されたURLがクローズされても、新たなプラットフォームや暗号化技術を活用して即座に活動を再開する可能性が高い。法執行機関とプラットフォーム事業者の継続的な連携が不可欠であり、削除のスピードと範囲を常に強化し続ける必要がある。 長期的には、若年層を標的としたオンライン過激化の防止には、取り締まりだけでは不十分だ。教育現場でのデジタルリテラシー教育の徹底、家庭での子どものオンライン行動に対する監視と対話、そしてソーシャルメディア企業によるプロアクティブなコンテンツモデレーションの実装が求められる。技術的な対策と社会的な予防策の両輪が機能して初めて、この問題の根本的な解決に近づくことができよう。 暴力行為のライブ配信や拡散を「ステータス」として報酬化するオンライン文化そのものへの対策が、今後問われることになる。
参考
- 「Europol flags 4,340 ‘horrific’ URLs linked to The Com」, by Jessica Lyons — The Register, 2026-07-24T20:20:57.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://www.theregister.com/cyber-crime/2026/07/24/europol-flags-4340-horrific-urls-linked-to-the-com/5278556
よくある質問
- The Comとはどのような組織なのか
- The Comは「Community」の略称で、ハッキングや恐喝から実世界での暴力行為に至るまで様々な違法活動を行う若年層のオンラインネットワークである。緩やかに結合したグループの集合体で、過激なコンテンツの制作・拡散によってコミュニティ内での地位を競う構造を持つ。
- 今回Europolが特定したURLにはどのようなコンテンツが含まれているのか
- 自傷行為、自殺、児童性的虐待素材、動物虐待、暴力的な攻撃を描写する動画や画像が含まれる。特に、恐喝者の名前を血で描いた「ブラッドウォール」や被害者の身体に文字を刻む「カットサイン」といった過激なコンテンツも確認されている。
- なぜ未成年者がThe Comの活動に参加するのか
- 過激なコンテンツを制作・拡散することでコミュニティ内での地位や認知が得られる仕組みが存在する。ソーシャルメディアやゲームプラットフォームを通じて勧誘が行われ、ライブ配信された暴力行為が賞賛されることで、さらなる過激化を促進する悪循環が生まれている。
コメント