COSMIC DE最初の7ヶ月の成果、ゲーム・UI・システム監視を強化
System76がCOSMIC DEの最初の7ヶ月間の進捗を報告。ゲーミング体験の向上、フロストグラス効果、ワークスペース検索、新システムモニター、ファイル管理の大幅改善など、多数の機能追加と品質向上を実施した。
System76は2026年7月21日、独自のデスクトップ環境「COSMIC DE」の最初の7ヶ月間の開発成果を公式ブログで報告した。Rust言語による完全新規開発が進むCOSMIC DEは、ゲーミング体験の向上、ビジュアル効果の追加、ワークスペース管理の拡張、そしてシステムモニターやファイル管理といった基本的なアプリケーションの強化に至るまで、幅広い改善が施されている。以下、各分野の進展を詳細に見る。
ゲーミング体験の向上
COSMIC DEでは、1つのワークスペース内で複数のフルスクリーンウィンドウを同時に表示できる機能が追加された。これはマルチモニター環境や画面分割を多用するゲーマーにとって実用的な改善である。また、ゲーム起動時の不具合修正や、入力プロトコルへの新たな対応(Waylandの入力関連部分の拡張)により、より円滑なプレイが可能になった。System76は今後もさらなるゲーム関連の改良を継続するとしている。
Linuxデスクトップにおけるゲーミングは、Steam Deckの成功やProtonの進化により近年急速に環境が整いつつある。COSMIC DEがゲーム向けの改善を積極的に進める背景には、System76がPop!_OSの標準デスクトップとしてCOSMICを位置づけていることから、一般ユーザーだけでなくゲーマー層もターゲットに含めた戦略があると見られる。
フロストグラスと角の一貫性
ビジュアル面では「フロストグラス(Frosted Glass)」効果が導入された。これはウィンドウやパネルに半透明のすりガラス風エフェクトを適用し、デスクトップをより有機的で没入感のある外観に仕上げるものだ。設定は「Settings > Desktop > Appearance > Frosted Glass」から行い、「Subtle and balanced(控えめでバランスの取れた)」「See-through(透ける)」「Nearly opaque(ほぼ不透明)」の3段階から選択可能。背景画像の印象に応じて好みの透明度を選べるようになっている。
もう一つの視覚的改善として「Consistent Corners(角の一貫性)」が挙げられる。COSMICアプリケーションだけでなく、GNOMEやKDEといった他環境向けに開発されたアプリケーションも、COSMIC DE上で起動した際にシステム設定の角丸スタイルに自動的に合わせられるようになった。これにより、異なるツールキットで作られたアプリが混在する環境でも、統一感のある表示が実現する。System76は将来的に、KDEアプリケーションがWaylandのblurプロトコルに対応することで、クロスデスクトップの見た目の調和がさらに進むと見込んでいる。
ワークスペース機能の拡張
ワークスペースの操作性も改善されている。「Workspaces Overview」からの検索機能が追加され、ランチャーやアプリケーションライブラリを直接ワークスペース概要画面から検索できる。検索動作は「Settings > Desktop > Workspaces」で設定可能だ。これにより、アプリを起動するためにいったん概要画面を離れる必要がなくなり、ワークフローが短縮される。
また、ワークスペースのループ動作を制御する「Workspaces Cycling Option」も実装された。最終ワークスペースから最初のワークスペースへ循環させるか、あるいは最終ワークスペースで停止させるかを選択できる。この機能は、多数のワークスペースを使い分けるヘビーユーザーにとって不要なループを防止し、ワークスペース間の移動を意図通りに制御するのに有用である。
システムモニターとファイル管理
新たに開発された「COSMIC System Monitor」は、システムリソースの全体像をダッシュボードで一覧できる。ダッシュボード画面では、全リソースと各リソースのトッププロセスが表示される。さらにリソース詳細ページでは、詳細なグラフとともに上位プロセスを表示し、グラフに文脈を与える。システムモニターは COSMIC Epoch 1.1、新システムモニター「COSMIC-Monitor」を搭載 で先行的に紹介された機能の強化版にあたる。
COSMIC Filesは大幅な機能拡充が行われた。主な改善点は以下の通りだ。
- リネーム時および保存ダイアログでファイル名の拡張子までを自動選択する挙動
- 最初に一致するファイルまたはフォルダを選択するための設定オプション
- パンくずリスト(breadcrumb bar)へのネットワークパス入力対応
- パンくずリストでのパス編集時におけるTabおよびShift+Tab補完
- 複数ファイル選択時に詳細ペインに「開く」ボタンを表示
- 複数のディレクトリを個別タブで開く機能
- 「Move to」「Copy to」のコンテキストメニュー項目
- 編集メニューへの「Move to」「Copy to」追加
- Recents(最近使ったファイル)機能の有効/無効切り替え設定
- Recentsクリアボタン
- Recentsナビゲーションバーコンテキストメニューへの履歴クリア追加
- クリップボードからの画像、動画、テキストペースト対応
- パスをコピーするコンテキストメニューオプション
これらの改善は、ファイル操作の速度向上とプライバシーへの配慮を両立させるものだ。特にRecents機能の制御強化は、共有PCや機密情報を扱うユーザーにとって重要な意味を持つ。
Rustエコシステムと今後の展望
COSMIC DEはRust言語をベースに開発されており、そのコンポーネントとして「COSMIC Text」という純Rust製のテキスト処理ライブラリが含まれている。今回、このライブラリに省略記号(ellipses: …)のレンダリング対応が追加され、デスクトップ全体で長いテキストを適切に省略して表示できるようになった。また、COSMIC Files、COSMIC Edit、COSMIC Terminalではタブのドラッグ&ドロップが可能になり、タブ管理の柔軟性が向上した。
System76は今後もCOSMIC DEの開発を継続し、安定性の向上と機能追加を進めるとしている。現在のロードマップでは、完全な安定版リリースが控えており、今回報告された機能の多くはPop!_OSの次期バージョンに標準搭載される見込みである。
編集部の見解
COSMIC DEがリリースからわずか7ヶ月でここまで機能を拡充できた背景には、Rust言語によるモダンなコードベースと、System76というハードウェアメーカーが自社のOSであるPop!_OSの核として開発を進めているという強固なモチベーションがある。今回のゲーム向け改善やシステムモニターの強化は、従来のLinuxデスクトップ(GNOME、KDE)が長年抱えてきたユーザビリティの課題に正面から取り組む姿勢を示しており、既存環境のユーザーをCOMSICへ引き寄せる可能性がある。 長期的には、Waylandプロトコルのさらなる拡張やクロスデスクトップの外観統一が進めば、Linuxデスクトップ全体の互換性と美観が底上げされ、WindowsやmacOSからの移行障壁が低下することが期待される。特にKDEアプリとのblurプロトコル対応は、デスクトップ間の垣根を越えた協調の象徴となるだろう。 一方、COSMIC DEがGNOMEやKDEのエコシステムを完全に置き換える存在になるかどうかは、アプリケーションの豊富さやプラグインエコシステムの充実度にかかっている。
参考
- 「COSMIC DE’s First Seven Months」, by system76.com via RaphGL — Lobsters, 2026-07-21T19:57:49.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://system76.com/blog/post/cosmic-de-first-seven-months
よくある質問
- COSMIC DEとは何ですか?
- System76が開発するRust言語製のデスクトップ環境です。GNOMEやKDE Plasmaとは異なり、ゼロからRustで設計されており、高いパフォーマンスと安全性を志向しています。Pop!_OSの標準デスクトップとして採用される予定です。
- 今回のアップデートで最も重要な機能は何ですか?
- ゲーミング体験の向上(複数フルスクリーン対応、入力プロトコル改善)、フロストグラス効果、ワークスペースからの検索、システムモニター、そしてCOSMIC Filesの大幅な機能強化(ネットワークパス入力、タブ操作、Recents制御など)が挙げられます。
- 現在のCOSMIC DEは安定版として使えますか?
- 開発は継続中であり、まだ安定版リリースには至っていません。しかし、Pop!_OS 24.04のアルファ版などで試用可能です。System76は本格的な安定版に向けて開発を加速しており、今後のリリースに注目が集まっています。
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