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地球軌道の衛星飽和、16,000機から10万機超へ

地球低軌道に約16,000機の衛星が周回し、年内には10万機超えも。メンテナンス不能な宇宙機の増加が衝突リスクと軌道デブリ問題を深刻化させている。

7分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

地球軌道の衛星飽和、16,000機から10万機超へ
Photo by NASA on Unsplash

Tony Jan, Professor of Information Technology and Director of Artificial Intelligence Research and Optimization (AIRO) Centre, Torrens University Australia が The Conversation - Technology で報じた記事に基づく。

同記事では、地球低軌道(LEO)に現在約16,000機の人工衛星が存在し、GPSナビゲーション、気象予報、銀行システム、緊急サービス、インターネット通信など、現代社会の基盤を支えていると指摘している。打ち上げは数週間ごとに数十機単位で継続されており、最も保守的な見積もりでも2030年までに60,000機、一部の予測では今十年のうちに100,000機を超える可能性があるという。

以下に原文の一部を引用する。

Earth’s orbit is getting crowded. About 16,000 satellites currently circle our planet, supporting everything from GPS navigation and weather forecasting to banking, emergency services and internet communications. Dozens more are launched every few weeks. Some estimates suggest the total number of satellites could exceed 100,000 within this decade, with more conservative estimates landing on up to 60,000 satellites by 2030 – still a staggering amount.

Large satellite constellations increase light pollution and other disruptions to astronomy and the night sky. More satellites mean more traffic, a greater chance of collisions and an increasing amount of space debris. […] In a worst-case scenario, space debris can cause a runaway chain reaction known as Kessler syndrome, which would ensconce Earth in a cloud of debris and render its orbit unusable, without the ability to launch satellites or any other space missions.

Today, satellite health is monitored largely from the ground. Engineers receive streams of telemetry data showing battery performance, temperatures, power consumption and the status.

さらに同記事は、今年3月に発生したNASA大型衛星の制御不能な大気圏再突入を例に挙げ、衛星が永遠に機能し続けるわけではないことを強調している。バッテリーの劣化、電子部品の摩耗、放射線や極端な温度変化によるストレスが不可避であり、一度打ち上げた衛星を修理のために地上に持ち帰ることは事実上不可能である。軌道上サービスミッションは技術的には可能だが、依然として高コストであり一般的ではない。

編集部の見解

短期的には、衛星コンステレーションの急増に伴い、軌道上の衝突回避運用が格段に複雑化すると見られる。従来の地上ベースのテレメトリ監視だけでは不足し、AIを活用した自動軌道管理システムの開発が急務となる。特にSpaceXのStarlinkやAmazonのProject Kuiperなど、数千機規模のコンステレーション事業者が自律衝突回避機能を実装するかどうかが、業界全体の安全性を左右する。規制当局は国際的な軌道交通ルールの整備を迫られるだろう。 長期的には、ケスラーシンドローム(破片の連鎖衝突による軌道使用不能状態)の現実化リスクが、宇宙開発のビジネスモデルそのものを変容させる可能性がある。保険料の高騰、打ち上げ許可取得の長期化、軌道上サービスやデブリ除去事業の市場拡大が予想される。また、修理不能な宇宙機をどう「寿命管理」するかという運用設計思想が、衛星メーカーのハードウェア設計にも影響を与えるだろう。 編集部としては、衛星の運用寿命とデブリ化を防止するための「終末期計画」が、打ち上げ許可の前提条件として法制化されるべきではないかと考える。

参考

よくある質問

ケスラーシンドロームとは何か
軌道上のデブリ同士が衝突を繰り返し、破片が連鎖的に増加することで地球周辺が破片の雲で覆われ、新たな宇宙ミッションの打ち上げが不可能になる現象。1978年にNASAのドナルド・ケスラーが提唱した。
現在の衛星の平均寿命はどのくらいか
設計寿命は5〜15年程度。ただし、実際の運用寿命はバッテリーや姿勢制御用スラスターの消耗、放射線による電子機器の劣化に左右される。低軌道では大気抵抗による軌道減衰も影響する。
衛星の修理はなぜ難しいのか
修理するには宇宙船を打ち上げてドッキングする必要があり、コストが数億ドル単位に跳ね上がる。さらに、宇宙空間の真空・放射線・温度変化に耐えるロボットアームや特殊工具が必要で、かつてのハッブル宇宙望遠鏡のサービスミッションはスペースシャトルで実現されたが、現在では民間の軌道サービス事業が模索されている段階である。
出典: The Conversation - Technology

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