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Google、Gemini効率化の新AIチップ「Frozen v2」開発

Googleが自社LLM「Gemini」向け新チップ「Frozen v2」を開発中。2028年リリース予定で、既存AIチップ比6〜10倍の効率向上を目指す。投資家好感で株価3%上昇。

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Google、Gemini効率化の新AIチップ「Frozen v2」開発
Photo by Mitchell Luo on Unsplash

Alphabet傘下のGoogleが、自社開発の大規模言語モデル(LLM)「Gemini」の動作効率を大幅に向上させる新たなサーバーチップを設計していることが明らかになった。内部で「Frozen v2」と呼ばれるこのチップは、2028年にもリリースが見込まれている。

The Informationの報道によれば、匿名の情報筋の話として、このチップは既存のGoogle製AIチップと比較して、消費電力あたりのトークン生成数(トークン/ワット)で6〜10倍の効率向上を実現する可能性があるという。この数字は、AIチップの性能指標として最も重要な「電力効率」において、Googleが劇的な飛躍を目指していることを示している。

TechCrunchの取材に対し、Googleはこの報道を直接確認も否定もしなかった。同社は声明で、「当社のチームは、ユーザーと顧客に最大の性能と効率を提供するため、常に新しい革新の研究と実験を行っている。すべてのプロジェクトが製品化に移行するわけではないが、この厳格な探求は当社のフルスタックアプローチの中核を成す。ハードウェアとソフトウェアをゼロから共同設計することで、システムが統合され、現実のワークロードに対して高度に最適化されることを保証している」と述べた。

AI企業が自社チップの開発に乗り出す動きは、業界全体の趨勢となっている。その背景には、自社のモデルをより効率的に動作させる必要性と、世界的なAIコンピューティング容量の不足への対応がある。効率性は、AI関連支出への懸念が業界を特徴づけてきた市場の熱狂を鈍らせる中で、テクノロジー企業にとって重要な販売訴求点になりつつある。

同時に、各企業はAIチップ市場で従来から支配的地位を占めてきたNVIDIAからの依存脱却を進めている。今年6月にはOpenAIが「Jalapeño」と名付けた初のカスタム推論チップを発表。今月初めには、AnthropicがSamsungとの新たなチップ製造提携を協議していると報じられた。

投資家は以前から、GoogleがAI戦略の構築に計画する巨額の設備投資に懸念を示していた。Googleは今年初め、1,800億〜1,900億ドルの支出計画を明らかにしている。このような巨額の投資を背景に、同社はこれらの投資が実を結ぶことを証明する必要に迫られている。

より効率的なFrozen v2チップのニュースは投資家の懸念を和らげたようで、Googleの株価は今週後半の決算発表を前に月曜朝に約3%上昇した。

AIチップ市場の勢力図とGoogleの戦略

Googleはこれまでも、自社のデータセンター向けに「TPU(Tensor Processing Unit)」シリーズを開発し、AI推論とトレーニングに活用してきた。TPUは特にTransformerモデルの処理において高い効率を発揮し、Googleの検索や広告、クラウドサービスの中核を支えている。しかし、NVIDIAのGPU、特にH100やB200といった次世代GPUは、AIチップ市場で圧倒的なシェアを維持している。

Frozen v2が示す「6〜10倍の効率向上」という数字は、単なる世代交代以上のインパクトを持つ可能性がある。既存のTPUがNVIDIAのGPUに対して競争力を持つ分野である推論処理において、このレベルの効率改善はGoogleのクラウドサービス「Google Cloud」のAI推論コストを大幅に引き下げ、競合他社に対する価格競争力を高めることになる。

また、自社チップの開発は、Googleの「フルスタックアプローチ」の象徴とも言える。ハードウェアとソフトウェアを共同設計することで、Geminiモデルに特化した最適化が可能となり、汎用のGPUでは実現できないレベルの性能と効率を達成できる。

投資家と市場への影響

Googleの株価が報道後に約3%上昇したことは、市場がこのニュースをポジティブに評価した証左である。AI関連の設備投資が巨額化する中、投資家は各社に対して投資対効果(ROI)を厳しく問うている。Googleが自社チップで効率改善を実現できれば、AIサービスを低価格で提供できるだけでなく、エネルギーコストの削減やデータセンターの拡張計画の効率化にもつながる。

特に、Googleが計画する1,800億〜1,900億ドルの設備投資は、AIインフラへの大規模な資金投入であり、その収益化が投資家の最大の関心事となっている。Frozen v2が実用化されれば、これらの投資の投資対効果を大幅に改善する可能性がある。

競合との関係性

OpenAIのJalapeñoやAnthropicとSamsungの提携報道は、AI業界全体がNVIDIAへの依存度を低減しようとしている流れを明確に示している。NVIDIAのGPUは現在、AIトレーニングと推論の両方でデファクトスタンダードとなっているが、その価格高騰と供給不足が業界の課題となっている。

各社が自社チップを開発することで、NVIDIAへの支払いロイヤルティを削減できるだけでなく、自社のワークロードに特化した最適化が可能となる。しかし、チップ開発には巨額の研究開発費と長い開発期間が必要であり、Frozen v2の2028年リリースというスケジュールも、この難しさを反映している。

Google Researchの取り組みとの連携

Googleは近年、時系列予測モデルTimesFM 2.5の公開や、Google Walletの機能拡充など、様々な分野で技術革新を進めている。Frozen v2の開発は、こうしたハードウェアとソフトウェアの両面からの統合的アプローチの一環と位置付けられる。

技術的課題と今後の展望

Frozen v2が実現するとされる6〜10倍の効率向上が、実際のワークロードでどの程度達成されるかは未知数である。ベンチマーク上の効率と実運用での効率には乖離があることが多く、GoogleはこのチップをGeminiモデルに特化して設計することで、理論上の最大効率に近づけることを目指していると考えられる。

また、2028年というリリース時期は、AI業界の進化のスピードを考えるとかなり先の話である。その時点でGeminiがどのようなモデルアーキテクチャを採用しているか、あるいはAI市場全体のニーズがどう変化しているかによって、Frozen v2の設計も影響を受ける可能性がある。

Googleは「すべてのプロジェクトが製品化に移行するわけではない」と釘を刺しており、Frozen v2が計画通りに市場に投入される保証はない。しかし、同社がAIチップの自社開発を継続する姿勢は、長期的な競争力強化のための重要な布石と言える。

編集部の見解

短期的には、Frozen v2のニュースはGoogleのAI戦略への信頼を高め、株価上昇に寄与した。今後3〜6カ月の間には、GoogleがGeminiの効率改善に関する具体的な成果や、TPUの次世代バージョンに関する追加情報を開示する可能性がある。競合のOpenAIやAnthropicも自社チップ開発を進めており、各社の発表がAIチップ市場の再編を加速させるだろう。特にNVIDIAの独占状態に揺らぎが見え始めたことは、業界全体にとって重要な転機と評価できる。 長期的な視点では、GoogleがFrozen v2で達成しようとしている電力効率の飛躍的向上は、AIの運用コストと環境負荷を大幅に低減する可能性を秘めている。1〜3年のスパンで見ると、ハードウェアとソフトウェアの共同設計というフルスタックアプローチが、AI業界の標準的な開発手法として定着するかどうかが焦点となる。さらに、自社チップへの移行が進めば、NVIDIAの市場支配力が低下し、AIエコシステム全体の多様化とコスト低減につながる可能性がある。

参考

出典: TechCrunch AI

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