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テレビリモコンがIRを使い続ける理由

赤外線リモコンが登場から40年以上経った今もテレビの標準規格として使われ続ける理由を、Bluetoothリモコンとの比較から解説する。

5分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

テレビリモコンがIRを使い続ける理由
Photo by Glenn Carstens-Peters on Unsplash

Engadget の [email protected] (Adnan Ahmed) の報道によれば、テレビリモコンの歴史を振り返ると、赤外線(IR)技術が約45年にわたり業界標準として使われ続けている事実に改めて気づかされる。Bluetoothリモコンが普及しつつある現在でも、IRは完全には駆逐されていない。その理由を技術的観点から検証する。

リモコンの歴史と赤外線の台頭

最初のテレビリモコンは「Lazy Bones」と呼ばれ、1950年にZenith Radio Corporationが発表した。この機器は有線であり、長いケーブルでテレビ本体と接続されていた。

1955年には「Flash-Matic」が登場。これは可視光線を利用した初のワイヤレスリモコンで、テレビ前面に設定された4つの光電池に向けて光を送信する方式を採用した。

1980年代までに赤外線リモコンが業界標準として確立され、その後40年以上にわたってその地位を維持している。

赤外線技術の動作原理

IRリモコンは、LEDを用いて不可視光の高速パルスを送信する。テレビ側の赤外線受信機がこの信号を復号し、コマンドを処理する仕組みだ。スマートフォンのカメラをリモコン正面に向けてボタンを押すと、赤外線LEDの点滅を視認できることがある。

Bluetoothリモコンとの併用が示す実態

多くの最新テレビには音声操作やエアジェスチャーなどの機能を備えたBluetoothリモコンが同梱されているが、これらのリモコンにもIR送信機は搭載されている。その理由は、電源のオンとオフという基本操作にある。

Engadgetの記者がTCL製スマートテレビで実施したテストでは、BluetoothリモコンがIR信号を使用するのは電源オンとオフの2操作のみだった。メニュー操作や音量調整などのコマンドはBluetooth経由で送信される。リモコンのペアリングを解除すると、すべての操作がIR経由に自動的に切り替わった。

Bluetoothリモコンはテレビとのペアリングが必要だが、初回セットアップ時にはペアリング前にテレビを操作する手段が必要になる。この問題を解決するのがIR通信だ。また、テレビがスタンバイモードの場合はBluetoothが常時有効とは限らないため、電源投入にもIRが使われる。

IRが生き残る経済的理由

IR技術の最大の強みは、その製造コストの低さにある。長年にわたる大量生産と標準化により、IR送受信モジュールのコストは極めて低く抑えられている。SoundbarやAVアンプなど、既存のAV機器の多くもIRに対応しており、互換性の面でもIRを完全に廃止することは現実的ではない。

Bluetoothには見通しを必要としないという大きな利点がある。リモコンをテレビに向けずとも操作できるため、毛布にくるまったままでも音量調整が可能だ。しかし、IRのバッテリー効率の良さは、現在のBluetooth Low Energy技術の進歩により、かつてほどのアドバンテージではなくなっている。

編集部の見解

短期的に見れば、IRとBluetoothのハイブリッド方式が今後も主流であり続けると予測する。BluetoothリモコンがIRを完全に代替するには、スタンバイ時の消費電力問題とペアリングの煩雑さを解決する必要がある。特に、テレビの電源投入という基本動作をIR以外で実現する標準規格が確立されない限り、IR送信機の搭載は継続されるだろう。

長期的には、音声操作やジェスチャー認識の高度化により、物理的なリモコン自体が減少する可能性がある。ただし、テレビという家電には、電源オフ時の動作保証と最低限のユーザーインターフェースが不可欠であり、シンプルなIR送信機はその役割を担い続けるとみられる。リモコン技術の進化は、あくまで既存インフラとの互換性を保ちながら進むと編集部は評価する。

IR技術の長期利用は、家電業界における後方互換性の重視を示している。Bluetoothリモコンの普及が進む中で、消費者の立場からは「IRの廃止による操作の複雑化」と「Bluetoothの利便性」のバランスが問われていると言えそうだ。

参考

よくある質問

なぜBluetoothリモコンにもIR送信機が搭載されているのか
Bluetoothリモコンはテレビとのペアリングが必要であり、初回セットアップ時やペアリング解除後に操作する手段としてIRが使われる。また、テレビがスタンバイ状態の場合はBluetoothが有効でないことが多いため、電源オン・オフの基本操作もIRに依存している。
IRリモコンの最大の欠点は何か
IR通信には送信機と受信機の間に見通しが必要である。リモコンをテレビに向けなければ操作できず、家具などで遮蔽されると信号が届かない。Bluetoothはこの制約を持たないため、隣の部屋からでも操作が可能である。
将来IRリモコンは完全に廃止されるか
現時点では廃止の見通しは立っていない。製造コストの低さと既存機器との互換性が強みであり、BluetoothリモコンにもIR送信機が併載されている現状を踏まえると、少なくとも当分はIRが残り続けると予測される。 ## 参考 - [Infrared tech is decades old – why does almost every TV remote use it? - Engadget](https://www.engadget.com/2213636/why-infrared-still-used-tvs/) — 2026-07-19公開
出典: Engadget

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