AMD Medusa Point、Geekbenchでx86最速を記録
AMDの次世代モバイルAPU「Medusa Point」がGeekbenchで単スコア3,329点を記録。x86モバイルチップとしては最高値を更新し、デスクトップCPUに迫る性能を示した。
AMDが2026年後半に投入を予定する次世代モバイルAPU「Medusa Point」ファミリーのエンジニアリングサンプルが、Geekbenchに再登場した。Tom’s HardwareのHassam Nasirの報道によれば、今回投稿されたベンチマーク結果は過去2回のリークを上回るスコアを記録。特にシングルコア性能では、現行のすべてのx86モバイルプロセッサを凌駕する数値を叩き出している。
今回のベンチマーク結果の詳細
Geekbenchのリストに現れた「AMD Eng Sample 100-000001713-33_N」は、前回と同じ識別番号を持つ同一チップだ。プラットフォーム名は「AMD Plum-MDS1」であり、これがMedusa Pointであることが確認されている。
今回の結果は、シングルコアが3,329点、マルチコアが16,555点を記録した。前回のリークと比較すると、シングルコアが約5%、マルチコアが約10%向上している。特にシングルコアの3,329点は、GeekbenchのデータベースにおいてQualcommのSnapdragon X2 Eliteシリーズを除くすべてのモバイルチップを上回っている。
注目すべきは、このスコアがデスクトップ向けCPUに極めて近い水準にある点だ。AMD Ryzen 9 9900X(12コア)は3,333点、Ryzen 7 9800X3D(8コア)も3,333点であり、Medusa Pointの10コア構成でわずか4点差という結果となっている。Ryzen 5 9600X(6コア)の3,318点すら上回っており、モバイルチップでありながらデスクトップのミドルレンジを超えた性能を示したことになる。
クロック速度と構成の推測
前回のリークでは実測値として取得できていなかったクロック速度だが、今回はGeekbench上で正しい数値が報告されている。ベースクロックは2.0GHz、ブーストクロックは5.37GHzと記録された。5.37GHzというブースト周波数は、モバイルプロセッサとしては極めて高い数値だ。
コア構成は10コアである。AMDの命名規則から推測すると、このSKUは「Ryzen AI 9 565」となる可能性が高い。AMDは過去にStrix PointでRyzen AI 9 365(10コア)、Gorgon PointでRyzen AI 9 465(10コア)をリリースしており、Medusa Pointの10コア構成は「Ryzen AI 9 565」という名称が自然な流れと言える。
現行のRyzen AI 9 365の平均マルチコアスコアは12,410点であるため、Medusa Pointの今回のスコア16,555点は33%の向上に相当する。前世代からのジャンプアップとしては極めて大きな改善幅だ。この向上は、アーキテクチャの刷新(Zen 6の採用)とブーストクロックの向上が主な要因と考えられる。
Medusa Pointが示す位置づけ
マルチコア性能においては、今回の10コアSKUはStrix HaloのRyzen AI Max+ 390と同程度のスコアを記録している。Strix Haloは12コアから16コアの大型ダイを採用するハイエンドSKUであり、Medusa Pointが10コアでありながらそれに匹敵する性能を持っていることは、Zen 6アーキテクチャの効率が大幅に改善されていることを示唆している。
Intelとの比較では、Core i9-14900KS(24コア)のシングルコア3,226点、Core Ultra 9 285K(24コア)の3,195点をいずれも上回っている。Intelのデスクトップ最上位CPUと同等か、それを凌ぐシングルコア性能をモバイルで実現している点は特筆に値する。
QualcommのSnapdragon X2 Elite X2E-90-100(18コア)はシングルコア3,573点で依然としてトップだが、Medusa Pointはその約93%の性能を10コアで実現している。ARMアーキテクチャの優位性が叫ばれる中、x86陣営がここまで差を詰めてきたことは、AMDの設計能力の高さを示している。
製品化へのタイムライン
AMDは2026年中にMedusa Pointを正式発表する見込みだ。Zen 6ベースのモバイルAPUという位置づけであり、リリース時期としては年内後半が有力視されている。今回のエンジニアリングサンプルが短時間で性能を大きく伸ばしていることから、量産段階ではさらに高いスコアを記録する可能性もある。
Medusa PointはRyzen AI 500シリーズとして展開される。AMDのモバイル製品ラインは、Strix Point(Ryzen AI 300)、Krackan Point(Ryzen AI 400)、Gorgon Point(Ryzen AI 400)と推移しており、Medusa Pointは次世代のフラッグシップモバイルAPUとして位置づけられる。
今後の注目点は、上位SKUの存在だ。今回リークされた10コア構成はミドルレンジのRyzen AI 9 565と推測される。上には12コアや16コアの上位SKUが存在する可能性が高く、それらがどの程度の性能を示すのかが次の焦点となる。
編集部の見解
今回のMedusa Pointのベンチマーク結果は、x86モバイルプロセッサの性能上限を大きく引き上げた点で高く評価できる。シングルコア性能でデスクトップ最上位クラスに迫るという事実は、モバイルワークステーションやハイエンドノートPCの市場に大きな影響を与えるだろう。特にクリエイター向けや科学技術計算用途では、デスクトップ並みの性能をモバイルで実現できる可能性を示している。ただし、エンジニアリングサンプル段階の数値であり、量産品で同程度の性能が維持されるかは未知数だ。冷却設計や消費電力の制約が最終製品の実効性能を左右するため、実際の製品発表まで注視する必要がある。 長期的な視点では、モバイルとデスクトップの性能差が縮小しつつある。ARM陣営の台頭に対して、x86陣営が高効率かつ高性能なアーキテクチャで対抗できていることは、市場の競争環境を健全に保つ要素だ。ただし、Zen 6のマイクロアーキテクチャの詳細は未公開であり、IPC向上の度合いや消費電力特性はまだ明確になっていない。Medusa Pointが本当の意味で成功した製品となるかどうかは、実機での消費電力と熱設計にかかっている。5.
参考
- 「 AMD’s next-gen 10-core ‘Medusa Point’ APU shows up on Geekbench again, with its best score yet — leaked SKU outpaces every other x86 mobile chip in the single-core test 」, by Hassam Nasir — Tom’s Hardware, 2026-07-19T14:35:00.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://www.tomshardware.com/pc-components/cpus/amds-next-gen-10-core-medusa-point-apu-shows-up-on-geekbench-again-with-its-best-score-yet-leaked-sku-outpaces-every-other-x86-mobile-chip-in-the-single-core-test
よくある質問
- Medusa PointとStrix Pointの違いは何か
- Medusa PointはZen 6アーキテクチャを採用した次世代APUであり、Strix Point(Zen 5)の後継に位置する。コア構成やグラフィックス性能、AIアクセラレータも刷新される見込み。名称はRyzen AI 500シリーズとなることが予想されている。
- 今回のベンチマーク結果はどの程度信頼できるか
- Geekbenchデータベースに投稿されたエンジニアリングサンプルの結果であり、製品版の性能を完全に代表するものではない。しかし、3回のリークで一貫してスコアが向上している点は、チューニングが進んでいることを示している。最終的な量産品ではさらに最適化される可能性がある。
- このチップはどのようなノートPCに搭載されるか
- Medusa Pointはハイエンドからミドルレンジまでの幅広いモバイル向けに設計されている。特にクリエイターノートやゲーミングノート、ハイエンドビジネスノートでの採用が想定される。10コア構成のRyzen AI 9 565は、現行のRyzen AI 9 365の後継として位置づけられる。
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