インターネットの声

カリフォルニア年齢確認法制、拡大案を撤回

カリフォルニア州議会がA.B.1856からブラウザ・Webサイトへの年齢確認義務化条項を削除。しかし母法A.B.1043は依然として違憲性が指摘されている。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

カリフォルニア年齢確認法制、拡大案を撤回
Photo by Josh Hild on Unsplash

Rindala Alajaji が EFF Deeplinks で報じたところによると、カリフォルニア州議会は同州の年齢確認法制を拡大する計画から大きく後退した。A.B.1856として提出された法案から、ブラウジング体験をユーザーの言論、プライバシー、セキュリティに対する深刻な脅威に晒す可能性があった文言が削除された。

法案の経緯と問題点

A.B.1856は、民主党のBuffy Wicks州議会議員が提出した法案である。この法案が改正対象とするのは、2025年に署名され2027年1月に施行予定のA.B.1043だ。A.B.1043は、すべてのオペレーティングシステム(OS)とアプリストアに対し、ユーザーの年齢を収集し年齢層ごとに分類することを義務付ける。その上で、若年ユーザーが年齢に応じて合法的な言論やサービスにアクセスすることを遮断する仕組みを要求している。

EFFは、A.B.1043が遠隔測定認証(age verification)を直接義務付けてはいないものの、OSとアプリストアに生じる法的責任が実質的に年齢確認を強制すると指摘する。法律に違反した場合、影響を受けた子ども1人あたり最大7,500ドルの罰金がOS事業者に科される。この罰金リスクが、より多くのID確認、生体認証スキャン、データ収集、そして漏洩リスクを招くとEFFは分析する。

削除された条項の内容

A.B.1856の当初案には、この年齢確認枠組みをブラウザとWebサイトに拡大する条項が含まれていた。もしこの条項が残っていれば、インターネット上のあらゆるサイトやサービスが対象となり、ユーザーはコンテンツを閲覧するたびに年齢確認を求められる可能性があった。

カリフォルニア州議会は、この拡大計画を断念した。EFFは、危険な法律が施行前から大幅に拡大される事態を回避できたとして、提案者と委員会スタッフの判断を評価している。

オープンソースコミュニティへの影響

さらに、A.B.1856への修正により、オープンソースOSが対象から除外された。この修正は、オープンソースコミュニティへの脅威を低減するものだ。EFFは当初A.B.1856に反対していたが、これらの変更を受けて反対を取り下げた。

しかしEFFの立場はあくまで「より悪い選択肢を回避した」という段階にとどまる。同団体は、A.B.1043自体が依然としてオンライン上の匿名性、プライバシー、セキュリティを脅かすものであると主張する。

年齢確認法制の世界的な潮流

カリフォルニア州の動きは、年齢確認を義務付ける法制化の世界的な潮流の一部である。英国ではOnline Safety Actが2025年に全面施行され、米国ではユタ州やフロリダ州がソーシャルメディアへの年齢確認を義務付ける州法を成立させている。日本でも「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年ネット規制法)の改正議論が続いており、年齢確認技術の導入が検討されている。

EFFはこうした潮流に対し明確な立場を取る。「誰もインターネットにアクセスするために年齢を提供したり確認したりする必要はない」とし、いったん収集された個人データは漏洩やハッキング、悪用のリスクに晒されると警告する。年齢確認システムは、ユーザーに敏感で不変の個人情報を引き渡させ、オフライン上の身分とオンライン上の活動を結び付けることを強要する仕組みだと批判する。

編集部の見解

短期的には、カリフォルニア州議会がA.B.1856から危険な拡大条項を削除したことで、ブラウザやWebサイト事業者はひとまず年齢確認義務の対象外となる。しかし2027年1月に施行されるA.B.1043の準備は引き続き必要であり、OS事業者とアプリストア運営者は罰金リスクを回避するために年齢確認技術の導入を迫られる。この結果、プライバシー保護技術や匿名ブラウジング手法への需要が高まる可能性がある。 長期的視点では、A.B.1043の合憲性が司法判断に委ねられるだろう。EFFは同法を違憲とする立場であり、実際に訴訟が提起される可能性は高い。もし法が維持されれば、他州への波及効果は大きく、全米で年齢確認法制が標準化されるリスクがある。インターネットのアーキテクチャ自体が「年齢を常に確認する前提」で再設計される未来も想定される。 編集部としては、年齢確認法制が「子どもの保護」という名目の下で成人のプライバシーや表現の自由をどこまで制約するかという根本的な問いがまだ十分に議論されていないと見る。特に、年齢確認技術の実装コストや誤検出率、プライバシーへの影響についての定量的な評価が欠如している。

参考

よくある質問

A.B.1043はいつから施行されるのか
2027年1月に施行予定。施行までにOS事業者とアプリストアは年齢収集・分類システムの実装を完了する必要がある。
A.B.1856から削除された条項は具体的に何か
ブラウザとWebサイトに年齢確認義務を拡大する条項が削除された。当初案では、ユーザーがWebサイトを閲覧するだけで年齢確認が求められる可能性があった。
日本においても同様の年齢確認法制が導入される可能性はあるか
改正青少年ネット規制法の議論の一環として年齢確認技術の導入が検討されている。ただし現時点で具体的な法案は提出されていない。 ## 参考 - [California Steps Back From Dangerous Expansion of its Age-Gating Law](https://www.eff.org/deeplinks/2026/07/california-steps-back-dangerous-expansion-its-age-gating-law) — 2026-07-15公開 - カリフォルニア州議会 A.B.1856法案テキスト(leginfo.legislature.ca.gov)
出典: EFF Deeplinks

コメント

← トップへ戻る