Haiku、NVMMマージで仮想化対応へ 完全動作は未達
Haiku OSがNVMM(NetBSD Virtual Machine Monitor)の移植をマージした。GSoC 2024から続くプロジェクトで、ハードウェア仮想化の初期対応を実現。ただしゲストOSが起動途中でクラッシュする問題が解決しておらず、デフォルトでは無効化されている。
PhoronixのMichael Larabelの報道によれば、BeOSに影響を受けたオープンソースオペレーティングシステム「Haiku」が、2026年6月の進捗報告を公開した。直近1ヶ月の主な成果として、NVMM VMモニターのサポートマージ、ハードウェアドライバの改善、そして次期ベータ版「Haiku r1 Beta 6」への準備が進められている。
NVMM移植の経緯と現状
Haikuへの仮想化サポート導入は、Google Summer of Code 2024に端を発する。NetBSD Virtual Machine Monitor(NVMM)をHaikuに移植し、QEMU経由でハードウェアアクセラレーションによる仮想化を実現する試みが行われてきた。このNVMMポートがついにHaikuの上流リポジトリにマージされた。
ただし、この移植は現時点で「完全には動作しない」ことが明らかになっている。具体的には、HaikuやLinuxなどのゲストOSがブートプロセスの後半で奇妙なクラッシュを起こす。デバッグの試みは成功しておらず、そのためNVMMサポートはデフォルトで無効化された状態で提供されている。Haiku初の仮想化対応試行として、課題を抱えたままのマージとなった。
その他の進捗
NVMM以外の分野でも複数の改善が進んでいる。必須のBluetooth制御コマンドへの対応拡張、画面輝度制御の処理改善、BFSファイルシステムのクラッシュ修正、各種ハードウェアドライバの継続的改良が行われた。ビルドシステムにおいても、64ビットPowerPC対応の初期作業が着手されている。
これらの進捗は、OSの安定性とハードウェア互換性の向上に寄与するものだ。特にBFSはHaikuのネイティブファイルシステムであり、そのクラッシュ修正はシステム全体の信頼性に直結する。また、Bluetooth対応の強化は、ノートPCやタブレットでの利用を想定した場合に重要な要素となる。
r1 Beta 6への道筋
Haiku開発チームは、長らく待望されてきた「Haiku r1 Beta 6」マイルストーンに向けて準備を進めている。計画では、今週中にコードをブランチし、8月中旬にベータ6をリリースする見込みだ。
ベータ6では、これまで蓄積された多数のバグ修正と機能改善が反映される。仮想化サポートは不完全な状態だが、将来のリリースで完成度を高めるための基盤として位置付けられている。Haikuの開発ペースは決して速くはないが、コア開発者とコミュニティの粘り強い取り組みが続いている。
GNOME OS Test Center、Apple TestFlightに着想が示すように、オープンソースOSのテスト品質向上は業界全体の課題だ。Haikuのベータリリースプロセスも、コミュニティテストを通じた品質保証が重要な役割を果たす。
編集部の見解
短期的には、NVMMがデフォルト無効の状態でマージされたことは、Haikuの開発プロセスを示す象徴的な出来事だ。完全動作を待たずにコードベースに取り込んだ判断は、他のオープンソースプロジェクトにも見られるアプローチである。今後3〜6ヶ月の間に、コミュニティからのフィードバックや追加パッチによってNVMMの安定性が向上するかどうかが注目される。ただし、クラッシュの原因が特定できていない現状では、短期間での解決は楽観視できない。 長期的視点では、Haikuが仮想化対応に着手したこと自体が意義深い。QEMUとの組み合わせによるハードウェア仮想化は、Haikuを実用的な開発・テスト環境として位置付ける上で不可欠な要素だ。1〜3年のスパンでNVMMが安定化すれば、Haiku上で他のOSを動作させるユースケースが開ける。同時に、64ビットPowerPC対応の初期作業も始まっており、より多様なハードウェアプラットフォームへの対応が視野に入ってきた。 編集部が注目するのは、Haikuがこの仮想化機能をどのようなユースケースで想定しているかという点だ。
参考
- 「Haiku Merges NVMM For Initial Virtualization Support, But It Doesn’t Yet Fully Work」, by Michael Larabel — Phoronix, 2026-07-14T10:11:00.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://www.phoronix.com/news/Haiku-June-2026
よくある質問
- Haiku OSのNVMM対応はどのように使うのか
- NVMMはQEMUと組み合わせてハードウェアアクセラレーションによる仮想化を提供する。ただし現時点ではデフォルトで無効化されており、ゲストOSが正常に動作しない問題がある。利用するにはカーネルパラメータで明示的に有効化する必要があるが、安定性は保証されていない。
- Haiku r1 Beta 6のリリース時期はいつか
- 開発チームは2026年7月後半にコードをブランチし、8月中旬にベータ6をリリースする計画を発表している。具体的な日付は未定だが、8月中のリリースが目標とされている。
- NVMMの代わりにKVMやVirtualBoxは使えるのか
- Haikuは現時点でKVMやVirtualBoxのネイティブサポートを提供していない。NVMMが初めてのハードウェア仮想化対応となる。QEMUはソフトウェアエミュレーションモードで動作可能だが、パフォーマンスは著しく低下する。 ## 参考 - [Haiku Merges NVMM For Initial Virtualization Support, But It Doesn't Yet Fully Work - Phoronix](https://www.phoronix.com/news/Haiku-June-2026) — 2026-07-14公開 - [Haiku OS 公式サイト](https://www.haiku-os.org/) — 一次情報源
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