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ブラウン大のAI不正スキャンダル、教授が警告する「失敗した社会」

ブラウン大学の経済学教授ロベルト・セラーノ氏が、AIによる不正行為の実態を告発。自宅受験導入で平均点が96点に跳ね上がり、約半数が満点を記録した。教授は「AIに判断を委ねることは、愚か者になる道を選ぶことだ」と警鐘を鳴らす。

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ブラウン大のAI不正スキャンダル、教授が警告する「失敗した社会」
Photo by Nguyen Dang Hoang Nhu on Unsplash

アイビーリーグの学生は、本来ならば教科書を理解し試験に臨むだけの知性を備えている。しかし、競争と野心、過密なスケジュールのプレッシャーが、生成AIという「近道」へと彼らを向かわせる。その結果が、今、米ブラウン大学で顕在化した。経済学教授ロベルト・セラーノ氏が明らかにしたところによれば、彼の講義で自宅受験を導入したところ、平均点が96点に達し、86人中40人が満点を獲得したという。問題の深刻さは、教授の口から「AIによる不正が社会を失敗させる」との言葉を引き出した点にある。

事件の発端

セラーノ氏が自身の講義「ECON 1170」で自宅受験を採用した経緯には、悲劇が関係している。2025年12月、ブラウン大学のキャンパスで銃撃事件が発生し、同氏が最近知り合ったばかりの人物を含む2人が命を落とした。この衝撃を受けたセラーノ氏は、2026年春学期の中間試験と期末試験を自宅で受験できる方式に変更した。

すると、履修者数が急増した。通常は30人以下、時には8人しか集まらなかったこの講義に、86人が登録した。3月5日に実施された中間試験の結果は異常だった。平均点は100点満点中96点。86人中40人が完璧な答えを書き、それ以外の学生も高得点を連ねた。

同教授はInside Higher Edに対し、「歴史的にこの講義の中間試験平均点は65〜80点の範囲だった。今回の試験は過去よりも難しい問題を出した。自宅受験なら無限の時間があるため、より挑戦的な内容にしたのだ」と説明している。にもかかわらず、これまでの最高記録を大幅に上回る結果が出た。

違和感のある答案

数字だけでなく、答案の内容にも不自然な点があった。セラーノ氏は「非常に回りくどい文体」が目立ったと述べている。同氏と大学院生が同じ問題をChatGPTに入力して解答させたところ、学生の答案と似たような出力が得られたという。

疑惑を確信したセラーノ氏は、期末試験を対面方式に切り替えることを決断した。この決定が、学生たちがAIなしでどれだけの実力を発揮できるかを試す試金石となる。同教授はEl Paísの取材に対し、「私たちは愚か者になる道を選ぶことはできない」と語り、AIへの依存がもたらす社会的な代償を警告している。

教育現場のジレンマ

この問題はブラウン大学だけの現象ではない。プリンストン大学の最近の調査では、学生の29.9%が少なくとも1回の試験や課題でAIを使った不正を認めている。アイビーリーグの学生は、高い知能を持つ一方で、時間不足や競争圧力から近道を選びやすいという構造的な課題を抱えている。

AI技術の進展により、不正の検出はますます困難になっている。教授陣は、答案の文体やパターンから違和感を察知するしかなく、本格的な対策には大学全体としての方針策定が求められる。セラーノ氏のように問題を公にする教員はまだ少数派だが、今回の告発は教育界全体に波紋を広げている。

編集部の見解

本件は、AIの利便性が「学び」の本質を侵食する危険性を如実に示している。短期的には、他の大学でも自宅受験の見直しや、AI使用に関する明確なルール整備が加速するだろう。採点プロセスにAI検出ツールを組み込む動きも強まると見られる。

長期的な視点で見れば、学生がAIに依存することで、論理的思考力や問題解決能力の習得が阻害されるリスクがある。学位の価値そのものが問われかねない。教育機関は、AIの利用を一律禁止するのではなく、批判的思考を育む形での活用を模索する必要がある。

編集部として問いたいのは、AI技術がもたらす「生産性向上」と「人間の知的成長」の間にあるトレードオフを、社会全体でどう設計するかという点だ。今回の告発は、その議論の火種として重い意味を持つ。

参考

よくある質問

ブラウン大学の教授はどのようにしてAI不正を発見したのか
自宅受験で平均点が過去最高の96点に達し、半数近くが満点を取ったこと、答案の文体に一貫した不自然さがあったことから疑念を持った。教授自らChatGPTで同じ問題を解かせたところ、学生の答案と類似した結果が得られたため、対面試験への切り替えを決断した。
他の大学でも同様のAI不正は起きているのか
プリンストン大学の調査では、約30%の学生がAIを使った不正を認めている。アイビーリーグ全体で同様の傾向があると推測され、自宅受験の導入が不正の温床になる可能性が指摘されている。各大学はポリシーの見直しを迫られている。
AI不正の防止策としてどのような方法が考えられるか
対面試験の徹底、AI検出ソフトウェアの導入、課題設計の工夫(過程重視の採点、口頭試問の併用)などが挙げられる。また、AIを学習ツールとして適切に活用するためのガイドライン整備も重要だ。技術的な対策と教育方針の両面からのアプローチが求められる。
出典: Ars Technica

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