Tencent混元Hy3正式版公開 Agent無料開放
TencentがHy3正式版を公開・オープンソース化、元宝に接続しAgent機能を無料提供。SWE-bench Proで57.9点獲得などベンチマーク上位。
Tencentは2026年7月6日、同社の大規模言語モデル「混元」の新バージョンHy3正式版を公開し、オープンソース化した。同モデルは同日、Tencent系メッセンジャーアプリ「元宝」(Yuanbao)にも接続され、すべてのAgent機能が無料で提供される。
Hy3は高速思考と低速思考を融合したMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用する。総パラメータ数は295B、アクティブパラメータ数は21B、最大256Kトークンのコンテキスト長に対応。Coding(コード生成)とAgent(エージェント)の両シナリオに最適化されている。
今年4月23日にリリースされたpreview版と比較すると、エージェント能力とコード能力が20〜30%向上した。既知の問題も修正され、モデルの安定性と使用体験が大幅に改善されたとTencentは説明する。
シーン別の最適化内容
Hy3では、2つのAgent能力が強化されている。
Coding Agent能力の拡充
フロントエンド開発シーン向けに深い最適化が施された。フロントエンドの要件理解、コンポーネント生成、インタラクションロジック記述、自動デバッグの各局面で実用性が向上している。これによりフロントエンド開発の生産性向上が期待できる。
Working Agentの強化
複雑なワークフローにおけるタスク計画、長文情報処理、マルチツール呼び出しの能力が拡張された。エージェントの自律実行能力がより安定し、多段階呼び出しの精度も向上。汎用的な業務フローに対応可能となった。
ベンチマークでの性能
Hy3は複数のベンチマークで高いスコアを記録した。プログラミングとエンジニアリング能力を評価するSWE-bench Proでは57.9点を獲得し、DeepSeek V4 proとSeed2.1 Proを上回った。複雑な推論と数学問題で構成されるFrontierScience-Olympiadでは、GPT 5.5とQwen3.7 Maxを超え、テスト対象モデル中で第1位となった。
一方、プログラミング能力テストSWE-bench Multilingual、端末操作テストTerminal Bench 2.1、WebインタラクションテストBrowseCompでは、いずれも第4位。エージェントの長文脈推論テストAA-LCRでは、Qwen3.7 Maxと並んで第2位、GPT 5.5に次ぐ結果となっている。
社内テストも実施されている。Tencent Hunyuanが270名の専門家を対象に実業務に基づいて実施したブラインドテストでは、Hy3は平均2.67/4点で、GLM5.1の平均2.51/4点を上回った。特にフロントエンド、データ・ストレージ、CI/CDのカテゴリで顕著な優位性を示した。
価格設定と接続状況
Hy3のAPI価格は、入力1元(約20円)/100万トークン、出力4元(約80円)/100万トークン、キャッシュヒット時の入力価格は0.25元/100万トークンに設定された。
元宝ではHy3正式版を即座に接続し、Agent機能を無料で提供する。ユーザーはHunyuanモデルの高速思考モードに切り替え、会話中に要件を説明し、納品するファイルタイプを指定することでAgent機能を起動できる。
実機検証の結果
智東西が実施した実機テストの結果も報告されている。
フロントエンドアニメーション生成
最初のテストでは、自己完結型HTML5 Canvasを用いた物理シミュレーションアニメーションの生成が試行された。命令は「破断した橋から列車が脱線し、水中に墜落するシーン」である。
結果として、Hy3は「橋の破断」「列車の落下」「水面」などの要素を理解し、動作可能なCanvasアニメーションを生成した。ただし物理表現には不安定さが残る。橋面の破断・崩壊の階層感が弱く、車両連結器の関係が不自然。水中への落下部分では一部の車両が水面に浮いているように見え、重力や沈下の再現に課題がある。
比較対象としてDeepSeek-V4-Proの結果も確認された。後者は事故過程の連続性がより完全で、列車の進入から橋面破断、先頭車両落下、後続車両の順次脱線・落下、水しぶきや煙突からの煙といった詳細まで含まれていた。
2つ目のテストでは、「2台の車が斜面から飛び出し、峡谷上空で空中衝突する」シーンの生成が試行された。このラウンドの完成度は明らかに良好で、斜面、峡谷、車両の飛び出し、空中衝突などの主要動作を連結できた。
プロジェクト生成と文書解析
Working Agentのテストでは、出前サービスの微信ミニプログラム(ミニアプリ)のプロジェクト計画と核心コードの生成が試行された。納品結果は高い完成度を示し、READMEには比較的完全なプロジェクト説明が含まれていた。バックエンドAPIは店舗一覧、店舗詳細、注文作成、注文詳細、注文一覧、模擬決済、アドレスCRUD、注文キャンセルなどのフローをカバーしていた。
またSpaceXの上場申請書類に対する深層分析レポートの生成では、核心情報を網羅した内容が出力された。元宝はPPT全体像レポートも生成可能だが、視覚効果には手動調整が必要との評価である。
編集部の見解
今回のHy3正式版リリースで最も注目すべきは、Agent能力を前面に押し出した点である。Tencentはpreview版でエージェント能力の基礎を固め、今回の正式版で実用レベルに引き上げた。SWE-bench Proでの高スコアや社内ブラインドテストでの優位性は、実業務における適用可能性が高まったことを示している。短期的には、元宝への無料接続がAgent機能の普及を加速する可能性がある。中国市場ではDeepSeekやQwenもエージェント機能を強化しており、無料戦略で競合に差をつける狙いと見られる。
長期的に見ると、Hy3がより長いタスクチェーンで複雑な業務を安定して完了できるかが、Tencent Hunyuanの進捗を測る核心的なポイントとなる。今回のテストで物理シミュレーションの精度に課題が残ったことから、完全な自律エージェントとしての利用にはまだ距離がある。しかしオープンソース化によりコミュニティからの改良が期待できる。編集部としては、Hy3がエンタープライズ領域のエージェントシステムにおいてどの程度の信頼性と汎用性を発揮するかが、実運用における判断基準になると考える。
参考
- 虎嗅網 原文 — 2026-07-06公開
よくある質問
- Hy3とpreview版の違いは何ですか?
- Hy3正式版はpreview版と比較してエージェントとコード能力が20〜30%向上し、既知の問題が修正されています。安定性と使用体験が大幅に改善され、フロントエンド開発や汎用オフィスワークフローに特化した最適化が施されています。
- Hy3の価格はどのくらいですか?
- Hy3のAPI価格は入力1元/100万トークン、出力4元/100万トークン、キャッシュヒット時は0.25元/100万トークンです。元宝ではAgent機能が無料で提供されています。
- Hy3はオープンソースですか?
- はい、Hy3正式版はオープンソース化されており、誰でもアクセス可能です。これによりコミュニティによる改良やカスタマイズが期待されています。
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