セルフホスト旅行計画TREK、MCPサーバー内蔵で注目
GitHub Trendingに登場したTREKは、地図・予算・荷物リスト・ジャーナル・AIを統合したセルフホスト型のリアルタイム共同旅行プランナーだ。MCPサーバーを内蔵し、AIアシスタントとの連携も可能としている。
GitHub Trendingに、セルフホスト型のリアルタイム共同旅行プランナー「TREK」が登場した。開発者はmauriceboe氏。地図、予算管理、荷物リスト、旅行ジャーナルに加え、AI機能を統合したオールインワンのツールとして注目を集めている。
TREKの最大の特徴は、Model Context Protocol(MCP)サーバーを内蔵している点だ。OAuth 2.1による認証を備え、150以上のツールをAIアシスタントに公開する。これにより、AIが旅行計画の作成や変更、情報取得に直接介入できるようになる。
機能の全体像
TREKが提供する機能は多岐にわたる。まず旅程計画では、ドラッグ&ドロップによる日程整理、LeafletやMapbox GLを用いたインタラクティブマップ(3D建物、地形、写真マーカー、クラスタリング、ルート可視化)を備える。場所の検索はGoogle Places(写真、評価、営業時間)またはOpenStreetMap(無料、APIキー不要)から選択可能だ。
場所のインポートは共有されたGoogle MapsやNaver Mapsのリスト、GPX、KML/KMZ、GeoJSONファイルに対応する。日々のメモはタイムスタンプ付きで、アイコンによるタグ付けとドラッグ&ドロップによる並び替えが可能。ルート最適化機能で自動的に場所を並べ替え、Google Mapsにエクスポートできる。天気予報はOpen-Meteoを利用した16日間予報(APIキー不要)と、過去の気候データによるフォールバックを備える。
旅行管理とコラボレーション
旅行管理機能では、フライト、宿泊、レストランの予約管理が可能だ。ステータス、確認番号、ファイル添付に対応し、予約確認メールやPDFからのインポート(KDE Itinerary)もサポートする。費用管理はSplitwiseスタイルの分割精算機能を持ち、一人当たり・一日当たりの内訳、精算、多通貨対応を実現している。
荷物リストはカテゴリ分け、テンプレート、メンバー割り当て、進捗トラッキングを備える。バッグの重量追跡はiOSスタイルの分布表示で視覚化する。ドキュメント管理ではチケットやPDFを旅行・場所・予約に添付でき、1ファイル50MBまで対応する。PDFエクスポートは表紙、画像、メモを含む完全な旅行計画書を出力する。
コラボレーションはWebSocketによるリアルタイム同期が中核だ。変更は接続中の全ユーザーに即座に反映される。複数ユーザーによる旅行管理はロールベースのアクセス制御を備え、招待リンクは一回限りまたは再利用可能で、有効期限も設定可能だ。
認証とセキュリティ
認証はSingle Sign-On(OIDC)に対応し、Google、Apple、Authentik、Keycloakなど任意のOIDCプロバイダーが利用できる。多要素認証(TOTP+バックアップコード)と、パスキー(WebAuthn)によるパスワードレスログイン(指紋、顔、PIN、セキュリティキー)もサポートする。管理者による機能の有効・無効切り替えが可能だ。
モバイル対応とアドオン
モバイル対応では、ブラウザからのインストールでiOSとAndroid両方に対応する。Service Workerによるオフラインサポート(Workboxを利用したタイル、API、アップロードのキャッシュ)、フルスクリーンのネイティブ風UI、テーマ対応のステータスバー、スプラッシュスクリーンを備える。タッチ操作に最適化されたレイアウトは安全領域(safe-area)にも対応する。
アドオンは管理者が切り替え可能な機能として提供される。具体的には以下の通りだ。
- 荷物リストとToDo(テンプレート、メンバー割り当て、バッグ追跡オプション)
- 費用トラッカー(分割精算、多通貨対応)
- ドキュメント管理(旅行・場所・予約へのファイル添付)
- コラボレーション(チャット、共有メモ、投票、日次チェックイン)
- 個人休暇プランナー(カレンダー、100以上の国の祝日対応、繰越管理)
- 世界地図(訪問国、バケットリスト、旅行統計、ストリーク追跡)
- 旅行ジャーナル(写真、マップ、ムードを含む雑誌スタイルの記録)
- AirTrail連携(セルフホストのAirTrailインスタンスと接続し、フライト予約を同期)
技術スタックとMCPサーバー
TREKの技術スタックは詳細に公開されていないが、WebSocketベースのリアルタイム同期、Service Workerによるオフライン対応、そしてOAuth 2.1で認証されたMCPサーバーの実装が技術的な核となる。
MCPサーバーは150以上のツールを提供し、AIアシスタントが旅行計画の作成、予約情報の取得、ルート最適化の指示などを直接実行できるようにする。現在のところ、対応するAIアシスタントの種類や具体的な連携方法は明らかにされていないが、MCPプロトコルに対応した任意のクライアントから利用可能と推測される。
セルフホストがもたらす価値
TREKがセルフホストを前提としている点は、データプライバシーの観点から重要な意味を持つ。旅行計画にはパスポート情報やクレジットカード詳細、個人の位置情報など機密性の高いデータが含まれる。セルフホストにより、これらのデータがサードパーティのサーバーに保存されるリスクを回避できる。
また、セルフホスト型であるため、機能の拡張やカスタマイズが容易だ。アドオンの管理者切り替え機能は、チームや家族での利用に合わせた柔軟な設定を可能にする。
競合との比較
既存の旅行計画ツールとしては、TripItやGoogle Trips(現在は終了)、Trail Walletなどが挙げられる。しかし、これらはセルフホストに対応しておらず、データの所有権やプライバシーにおいて制約がある。
オープンソースの旅行計画ツールとしては、OpenTripPlannerやGraphHopperなどのルート最適化ツールが存在するが、これらは公共交通機関の経路検索に特化しており、TREKのような旅程管理、費用分割、コラボレーション機能は持たない。
TREKはこれらの既存ツールと比較して、機能の網羅性とセルフホストの両立、さらにAI連携までを一貫して提供する点で差別化している。
今後の展開
GitHub Trendingに登場したばかりのTREKだが、その機能の豊富さとMCPサーバーの内蔵という先進的な設計から、セルフホストコミュニティでの注目度は高い。特に、個人の旅行データを外部サービスに預けたくないユーザーや、グループ旅行での共同計画を効率化したいユーザーにとって、有力な選択肢となる可能性がある。
一方で、機能が多岐にわたるため、初期設定の複雑さや運用負荷が課題となることも予想される。また、Google Places APIの利用にはAPIキーが必要であり、大規模な利用ではコストが発生する点も考慮する必要がある。
AI連携については、MCPサーバーの具体的な活用事例や、どのAIアシスタントがTREKに対応するかが明らかになるにつれて、さらなる関心を集めることになるだろう。
編集部の見解
TREKの登場は、セルフホスト型アプリケーションの新たな方向性を示している。MCPサーバーの内蔵により、AIアシスタントが直接旅行計画を操作できる点は、単なる機能追加以上の意味を持つ。今後3〜6ヶ月以内に、同様のアプローチを採用するセルフホスト型アプリケーションが増加する可能性がある。特に、NotionやObsidianなど、個人情報管理ツールとの連携を模索する動きが加速するだろう。 長期的には、TREKのような統合型セルフホストツールが、Google TripsやTripItのようなSaaS型旅行計画ツールに取って代わる可能性も視野に入る。データ主権を重視するユーザーの増加と、セルフホスト環境の運用容易性が向上したことが背景にある。ただし、一般ユーザーがセルフホストの運用に耐えられるかどうかは依然として課題だ。 MCPサーバーの標準化が進めば、異なるAIアシスタント間での旅行データの相互運用が可能になる。しかし、MCPプロトコルのセキュリティ設計や、認証情報の管理方式については、まだ検討の余地が大きい。TREKが実践するOAuth 2.
参考
- mauriceboe/TREK - GitHub — 2026-06-26公開
- Model Context Protocol 公式ドキュメント
よくある質問
- TREKのインストールにはどのような環境が必要か
- セルフホスト型のため、DockerやNode.jsが動作するサーバー環境が必要。公式のドキュメントではDocker Composeを用いたセットアップが推奨されている。最低限のスペックは公開されていないが、リアルタイム同期とMCPサーバーを同時に運用するため、2GB以上のメモリが推奨される。
- TREKは無料で使えるのか
- オープンソース(ライセンスは未公開)で提供されており、セルフホストする限り無料で利用できる。ただし、Google Places APIを利用する場合はGoogle CloudのAPIキーが必要で、利用量に応じて費用が発生する。OpenStreetMapを利用する場合はAPIキー不要で無料。
- MCPサーバーはどのように使うのか
- TREKのMCPサーバーはOAuth 2.1で認証され、150以上のツールを提供する。MCPクライアント(例:Claude DesktopやカスタムAIアシスタント)から接続することで、旅行計画の作成、予約情報の取得、ルート最適化などをAIに指示できる。具体的な接続手順はGitHubリポジトリのドキュメントで公開される予定。
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