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カリフォルニア州、3Dプリンターに銃ブロック機能を義務付けへ

カリフォルニア州議会が3Dプリンター製造・販売に銃火器ブロッキング技術の搭載を義務付ける法案を可決。回避した利用者には軽犯罪が適用される内容にEFFが警鐘を鳴らす。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

カリフォルニア州、3Dプリンターに銃ブロック機能を義務付けへ
Photo by Josh Hild on Unsplash

3Dプリンター製造の常識を変える法案

カリフォルニア州議会(Assembly)が、州内で販売されるすべての3Dプリンターに「銃火器ブロッキング技術」の搭載を義務付ける法案「AB 2047」を可決し、州上院に送付した。正式名称を「カリフォルニア銃火器印刷防止法(California Firearm Printing Prevention Act)」とするこの法案は、同種の動きを見せるニューヨーク州やワシントン州、コロラド州の法案をさらに上回る厳格さで注目を集めている。 法案は2026年2月に州下院議員レベッカ・バウアー=カハーンによって提出された。5月18日に修正が加えられ、翌19日に第三読会に付託された後、州議会本会議で可決された。

法案の骨子と施行スケジュール

AB 2047の核心は、カリフォルニア州内で販売されるすべての3Dプリンターに対し、印刷ジョブの開始前に設計ファイルをスクリーニングする「銃火器ブロッキング技術」を搭載させることにある。 施行に向けたスケジュールは以下の通りだ。 カリフォルニア州司法省(DOJ)は、既存の銃火器設計図検出アルゴリズムを調査し、2028年1月1日までに性能基準を公表する。プリンターメーカーは各モデルについて宣誓供述書を2028年7月1日までに提出しなければならず、虚偽の陳述は偽証罪として罰せられる。DOJは2028年9月1日までに適合モデルの一覧を公表し、2029年3月1日以降、適合しないプリンターの州内販売には違反1件につき最大2万5000ドルの民事罰金が科される。

回避行為の犯罪化が波紋を呼ぶ

AB 2047が他の州の類似法案と決定的に異なるのは、「回避禁止条項」の存在だ。この条項により、ユーザーが銃火器ブロッキング技術を無効化したり、迂回したりした場合、軽犯罪(misdemeanor)として処罰の対象となる。 電子フロンティア財団(EFF)はこの点に強く反発している。EFFの分析によれば、この法案はすべての3Dプリンターに「検閲ソフトウェア(censorware)」を搭載させ、ユーザーが自らの機器を改造する権利を奪うものだという。EFFのクリフ・ブラウンとローリー・ミルは、この条項がメーカーのエコシステムへのロックインを生み出し、2Dインクジェットプリンターで見られる消耗品ロックインや計画的陳腐化と同じ問題を3Dプリンターにも持ち込むと警告している。

オープンソースファームウェアへの影響

EFFが特に懸念しているのは、この回避禁止条項が事実上、サードパーティ製のオープンソースファームウェアの利用を犯罪化する点だ。 3Dプリンター愛好家やメーカーコミュニティでは、MarlinKlipperといったオープンソースファームウェアが広く使われている。これらのファームウェアは、ユーザーがプリンターの動作を細かくカスタマイズできることが大きな魅力だが、AB 2047の回避禁止条項の下では、メーカー純正のブロッキング技術を搭載しないファームウェアへの書き換え自体が違法行為に該当する可能性がある。 さらに、DOJの適合リストから除外されたプリンターを中古で販売した場合にも、軽犯罪の罪に問われるリスクがある。この点はすでにメーカーコミュニティに大きな波紋を広げており、3DプリンターのDIY文化や修理の権利(Right to Repair)の観点からも深刻な問題提起となっている。

技術的課題とプライバシーの懸念

法案は完璧な検出率を要求しておらず、性能基準は偽陽性(false positive)と偽陰性(false negative)の両方を考慮する必要があると定めている。しかし、反対派はいくつかの根本的な技術的課題を指摘している。 まず、銃火器の部品は一般的な機械部品と幾何学的な形状を共有しているため、設計ファイルから銃火器部品を正確に識別することは容易ではない。さらに、ファイルにわずかな編集を加えるだけでデジタル署名が変化し、検出を回避できる可能性もある。 加えて、こうした検出分析に必要な計算能力が、消費者向けプリンターの処理能力を超える可能性がある。その場合、チェック処理はリモートサーバーにオフロードされることになり、ユーザーのプライバシーとネットワーク接続の問題が新たに浮上する。

支持者の主張と執行の穴を埋める狙い

一方、法案支持者は、この措置が法執行上の大きな穴を埋めるものだと主張している。 バウアー=カハーン議員の事務所は、法案発表時にサンタローサでの摘発事例を引用した。この事例では3台の3Dプリンターと167丁の銃火器が押収されており、そのうち150丁はシリアルナンバーが消去されていたという。また、銃規制団体Everytown for Gun Safetyの調査データも引用されている。 支持者の立場からは、3Dプリンター技術の進歩に伴い、銃火器の非合法製造に対する規制手段として、プリンター自体への技術的ガードレールの導入は不可欠だという論理が展開されている。

今後の行方 AB

2047は州上院での審議に進む。上院をを通じてし、州知事が署名すれば、カリフォルニア州は3Dプリンターに対する最も厳格な規制を導入する州となる。 この法案の行方は、3Dプリンター産業だけでなく、オープンソースコミュニティ、デジタル権利団体、そして製造業全般におけるユーザーの権利と公共の安全のバランスを問う重要な事例となるだろう。メーカー各社が2028年の適合期限に向けてどのような対応を取るか、そしてオープンソースファームウェアコミュニティがどう反応するかが、今後注目されるポイントだ。

よくある質問

AB 2047はいつから施行されるのか
法案はまだ州上院の審議をを通じてしていない段階だ。仮に可決・署名された場合、DOJが性能基準を2028年1月に公表し、適合モデルリストが同年9月に発表される。非適合プリンターの販売に対する罰則は2029年3月1日から適用される予定だ。
なぜEFFはこの法案に反対しているのか
EFFは、回避禁止条項が事実上、MarlinやKlipperといったオープンソースファームウェアの利用を犯罪化すると指摘している。また、メーカーのエコシステムへのロックインを生み、ユーザーの機器改造権や修理の権利を奪うものだとして警鐘を鳴らしている。
他の州でも同様の法案があるのか
ニューヨーク州、ワシントン州、コロラド州でも類似の法案が提出されているが、AB 2047は回避行為を軽犯罪として罰する条項を含む点で、より厳格な内容となっている。
出典: Tom's Hardware

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