インターネット発「バックルームズ」初日3800万ドルでA24新記録
インターネット発のホラー映画「バックルームズ」が初日興収3800万ドルを記録し、A24のオープニング週末記録を大幅に更新。YouTubeクリエイター出身の監督による低予算作品が大作を凌ぐ快挙となった。
インターネットの都市伝説から生まれたホラー映画「バックルームズ」が、公開初日に興行収入3800万ドルを記録し、映画業界に衝撃を与えている。オープニング週末の興収は9000万ドルに達する見込みで、製作会社A24の歴代オープニング週末記録を塗り替えた。
A24の歴史を塗り替える快挙
「バックルームズ」の初日興収3800万ドルは、A24がこれまでに記録したオープニング週末最高額を大幅に超えるものだ。従来の記録は、アレックス・ガーランド監督の「シビル・ウォー」が記録した2550万ドルだった。わずか1日でこの数字を超えてしまったのだ。 さらに興味深いのは、ディズニーの大作「マンダロリアン&グルーグ」の初日興収をも上回ったという事実だ。同作品の初日興収は3370万ドルで、オープニング週末合計は8160万ドルだった。「バックルームズ」はこれよりも良いスタートを切った計算になる。
1000万ドルの予算が生んだ莫大な利益
この数字がさらに意味をなすのは、製作費との比較においてだ。「バックルームズ」の推定製作費はわずか1000万ドルとされており、初日だけで製作費の約4倍を回収した計算になる。低予算ホラー映画としては破格の収益率といえるだろう。 一方、最新の「スター・ウォーズ」シリーズ作品は製作費1億6500万ドルを要し、同シリーズの中では「安い方」とされていた。製作費の桁が違う両作品がオープニング興収でほぼ互角の戦いを演じたことは、ハリウッドの製作費のあり方に対する問いかけともなっている。
4chanの都市伝説が映画になった
「バックルームズ」とはそもそも何か。その起源は2019年に画像掲示板サイト4chanに投稿された1枚の写真にさかのぼる。蛍光灯に照らされた無機質なオフィス空間がどこまでも続く、という不気味なイメージとともに「現実の壁をすり抜けると、ここに迷い込んでしまう」というテキストが投稿された。 この「裏側の部屋」というコンは瞬く間にインターネット上で拡散され、リミナルスペース(境界空間)という美学と結びつながら、独自の神話体系を築いていった。無人のショッピングモール、誰もいないプール、薄暗いオフィスビルの廊下——日常的な空間が人を欠いた状態で存在することで生まれる不気味さが、ネットユーザーの想像力を強く捉えたのである。
YouTubeクリエイター、ハリウッドを制す
この映画を監督したケイン・パーソンズは、YouTubeで「バックルームズ」関連の動画を制作してきた若手クリエイターだ。低予算ながらも高いクオリティの映像表現で人気を博し、A24の目に留まったことで長編映画のメガホンを取ることになった。 同様の成功事例は「バックルームズ」だけではない。同じく低予算ホラーで興行的成功を収めた「オブセッション」も、YouTubeクリエイターのカリー・バーカーが監督を務めた作品だ。インターネット上で培った視覚表現のセンスとストーリーテリング能力が、従来のハリウッドの枠組みを超えた映画制作の可能性を示している。 批評面では、「オブセッション」ほど圧倒的な称賛を集めているわけではないものの、「バックルームズ」は概ね好評を博している。低予算ホラーとしての緊迫感と、インターネット文化を熟知した上での映像表現が、観客と批評家の双方に訴えかけているようだ。
インターネット文化が映画産業を変える
「バックルームズ」の大ヒットが示唆するのは、インターネット発のコンテンツが主流のエンターテインメント市場で本格的な競争力を持つようになったという事実だ。 従来、ネット発のコンテンツは「ニッチ」あるいは「カルト」というレッテルを貼られがちだった。しかし、今回の興行収入はその認識を根本から覆すものだ。A24という批評家からの信頼が厚い製作会社が配給し、YouTube出身の監督がメジャー公開作品を成功させる——この構図は、コンテンツ産業のパワーバランスが確実に変化していることを示している。 低予算で高いクオリティを実現するYouTube世代のクリエイターたちは、ハリウッドの巨額製作費モデルとは異なる道を歩んでいる。1000万ドルの予算で9000万ドル以上のオープニング週末を叩き出すという収益構造は、スタジオにとっても無視できないビジネスモデルとなるだろう。
今後の展望 「バックルームズ」の成功が、さらなるインターネット発コンテンツの映画化ラッシュを引き起こす可能性は高い。リミナルスペースに限らず、ネット上で独自の神話やファンベースを構築してきたコンテンツは数多く存在する。それらが今後、どのようにスクリーンに展開されていくのか——「バックルームズ」はその最初の大きな成功事例として、コンテンツ産業の歴史に刻まれることになりそうだ。 YouTubeの寝室からA24のスクリーンへ。ケイン・パーソンズの軌跡は、デジタルネイティブ世代のクリエイターにとって、大きな希望の灯りとなるに違いない。
よくある質問
- 「バックルームズ」とはどのような作品ですか
- 2019年に4chanで生まれたインターネットの都市伝説が原案のホラー映画です。蛍光灯に照らされた無機質なオフィス空間がどこまでも続く「裏側の部屋」を舞台にした作品で、YouTubeクリエイターのケイン・パーソンズが監督を務め、A24が配給しています。
- なぜこの映画の興行収入が注目されているのですか
- 推定製作費1000万ドルに対して初日興収3800万ドル、オープニング週末で最大9000万ドルを見込んでおり、A24の歴代最高オープニング記録を塗り替えたためです。低予算で大作を凌ぐ収益を上げたことと、YouTube出身監督の作品がメジャー市場で成功したことが大きな意味を持ちます。
- YouTubeクリエイターの映画進出は今後も増えそうですか
- 「バックルームズ」のケイン・パーソンズや「オブセッション」のカリー・バーカーなど、YouTubeで培った映像技術とストーリーテリングで興行的成功を収めるクリエイターが相次いでおり、今後も同様の流れは加速する可能性が高いとされています。
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