中国ネットカフェの激変:高級eスポーツ施設から屋外ゲーミングまで
中国のネットカフェは1996年の誕生から30年余りで大きく変貌した。高級eスポーツ施設への転換が進む一方、低価格の屋外型やアフリカの携帯電話カフェなど新たな形態も登場している。
エリートの社交場から大衆娯楽へ——中国ネットカフェの30年史 あなたが初めてネットカフェに行ったのはいつだろうか。そして、最後に行ったのはいつだろうか。
この問いかけは、中国のインターネット文化を語る上で象徴的な問いだ。1996年、中国初のネットカフェが上海に誕生した。当時の利用料金は1時間40元という破格の値段で、庶民には縁遠いエリートのためのデジタルサロンだった。 しかし、2002年に発生した「蓝極速」放火事件が、ネットカフェの社会的評価を一変させた。未成年者4人が店内で学生を強盗した際、店員に目撃されて追い出されたことに報復し、放火を実行。25人が死亡、12人が負傷する大惨事となり、教育界、法曹界、情報産業界に大きな衝撃を与えた。 この事件以降、ネットカフェは社会的批判の的となり、営業許可証の取得は極めて困難になった。百万円規模のコストがかかっても取得できない状態の中、非合法のネットカフェが野蛮に増殖するという矛盾した現象が起きた。
スマートフォンとパンデミックが変えた風景 その後、パソコンやスマートフォンが一般家庭に急速に普及し、ネットカフェの存在意義は大きく揺らいだ。
さらに新型コロナウイルス感染症のパンデミックが追い打ちをかけ、ネットカフェの数は15.2万店から7.7万店へと半減する深刻な打撃を受けた。 もはやネットカフェは時代に淘汰される産業かと思われた。しかし、予想に反して復活の兆しが現れている。2025年時点で、全国のネットカフェ数は12.26万店にまで回復し、そのうちeスポーツ施設が全体の75%以上を占めるまでになっている。
汚いイメージを脱ぎ捨てた高級化路線
現代のネットカフェは、かつてのイメージとは全く異なる姿へと生まれ変わっている。高級サービスの導入、食事・宿泊・遊びが一体化した複合施設化により、汚らわしいレッテルは完全に剥がれ落ちた。 かつて30元で一晩中遊べた青春の思い出の場所は、豪華絢爛なeスポーツ施設へとアップグレードされた。RGBライティング効果、ゲーミングチェア、コーヒーマシンを備えた空間は、ナイトクラブの代わりとして機能し始めている。 プレイヤーたちの夜食事情も様変わりした。ハムソーセージやインスタントラーメンは最低ランクの食べ物と見なされ、無料でなければ口にしない層が現れた。喫煙習慣においても、安価な銘柄から高級銘柄へと移行するユーザーが増加している。
依然として存在する「下町」ネットカフェ しかし、きらびやかな高級施設の裏側で、依然としてディープな世界は存在している。露天広場に長いテーブルと一列の小さな椅子を並べ、中古ノートパソコンを並べた「屋外ネットカフェ」
が出現したのだ。
配線が複雑な高出力タップで多人数同時接続を実現し、広い空間は観客が後方から試合を観戦するのに使われる。風雨をしのげない環境だが、高額な店舗賃貸料がなく、消防検査も不要という利点がある。店主は通りすがりのプレイヤーを「20元で、飽きるまで遊べ」という言葉で誘惑する。 ここには驚くほど多様なユーザーが集まる。子供たちが仲間と訪れ、親が一緒に遊ぶ家族連れ、将棋やチェスに飽きた引退した老人が戦略ゲームに挑む姿も見られる。80年代生まれと20年代生まれの幼少期が、類似したゲーム体験を通じて繋がる貴重な空間となっている。
アフリカに広がる携帯電話ネットカフェ ネットカフェの変容は中国国内に留まらない。アフリカではネットインフラの遅れと高額なデータ料金が、新たなネットカフェ形態を生み出した。
それが「携帯電話ネットカフェ」だ。 固定された支架に携帯電話を設置し、十数人が囲んでショートビデオを視聴したり、モバイルゲームを楽しんだり、チャットを行ったりする。日間来客数は200人以上に及び、店主の日収は数千人民元に達する。数ヶ月で投資を回収できるというから、農場主の転生とも言えるビジネスモデルだ。
地元の黒人たちは「ネットが使えない」という困境を解決するため列を作り、番号を待ち、一台の携帯電話を求めて殺到する。起業家たちは国内の「先払い後起動」モデルを廃止し、プレイヤーがゲームで稼いだネット料金で遊べるようにし、食事も提供しているという。
Xiaomiストアが新たな「無料ネットカフェ」に
国内においても、さらに意外な場所が新たなネットカフェ的役割を果たし始めている。それは携帯電話メーカーの体験店、特にXiaomiストアだ。 地下室や暗い路地でもなく、風雨に晒される広場でもなく、明かりが煌々と灯るショッピングモールの中にある。エアコンは自由に使え、展示機は自由に触れ、ネット速度は速い。最も重要なのはネット料金が無料であることだ。 小学生たちが携帯電話に夢中になって集まる姿を見て、店員は追い払うどころか、ネットカフェの管理者のように振る舞い、お茶やお菓子を時々提供する。将来的なユーザーの育成という観点から、こうした子供たちの体験を許容しているのだ。
テクノロジーがもたらす孤独と繋がりの間で テクノロジーは最終的に私たちを効率的な孤独へと導くが、ネットカフェは失意者のどん底の時期における避難所であり、少年たちの娯楽が乏しかった時代のユートピアだった。
高級eスポーツ施設であれ、プラスチックの椅子と中古スマートフォンで構成された携帯電話ネットカフェであれ、あるいは子供たちの幼少期を支えた携帯電話店であれ、それらはすべて勇者の塹壕と見なすべきだろう。 ネットカフェはかつて都市の縁や隙間に存在し、世代の迷いと選択を見守ってきた。設備は変わり、外装は変わった。しかし、あなたが一緒にゲームを起動したあの人は、変わっただろうか。 この問いかけが、30年の時を超えてなお、ネットカフェという空間に込められた普遍的なメッセージなのかもしれない。
よくある質問
- 中国のネットカフェは現在どのくらいの店舗数があるのか?
- 2025年時点で全国に約12.26万店が存在し、そのうち75%以上がeスポーツ施設として運営されている。かつての15.2万店から半減した時期を経て、回復傾向にある。
- 「蓝極速」放火事件とは何だったのか?
- 2002年に発生した事件で、未成年者4人が店内で学生を強盗した際に店員に追い出されたことに報復し、ネットカフェに放火した。25人が死亡、12人が負傷する大惨事となり、中国のネットカフェ政策に大きな影響を与えた。
- アフリカの携帯電話ネットカフェとはどのような形態か?
- 固定された支架に携帯電話を設置し、複数人で共有して利用するサービス。ネットインフラの遅れと高額なデータ料金が背景にあり、日間来客数は200人以上、店主の日収は数千人民元に達するという。
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