インターネットの声

Netflixなど大手ストリーミング、カナダ収入の15%を現地コンテンツに拠出義務

カナダの放送規制機関CRTCが、Netflixなどの大手ストリーミング事業者に対し、カナダ国内収入の15%を現地および先住民コンテンツに拠出するよう義務付けた。

5分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

Netflixなど大手ストリーミング、カナダ収入の15%を現地コンテンツに拠出義務
Photo by Andy Holmes on Unsplash

ストリーミング大手に課される新たな拠出義務 カナダの放送規制機関であるカナダラジオテレビ通信委員会(CRTC)は2026年5月22日、NetflixやApple、Amazonなどの大手ストリーミングサービス事業者に対し、カナダ国内における収入の15%をカナダおよび先住民のコンテンツ制作に拠出することを義務付ける新たな規則を発表した。

これは2024年にCRTCが設定した当初の拠出率5%の3倍に相当するものであり、業界に大きな衝撃を与えている。

5%義務への法的挑戦と規制強化の背景

CRTCが2024年に設定した5%という拠出義務に対しては、AppleやAmazonをはじめとする大手ストリーミング事業者が法廷で異議を申し立てている。そうした状況の中で、CRTCはさらに規制を強化し、拠出率を15%に引き上げる判断を下した。Global Newsの報道によると、この動きはストリーミング業界と規制当局の間で深刻な対立を生む可能性がある。 一方、従来型の放送事業者については、現在30%から45%の範囲で課されていた拠出義務が25%に引き下げられる。つまり、ストリーミング事業者にとっては規制の大幅強化であり、従来型放送事業者にとっては一定の負担軽減となる調整が行われた形だ。

「オンラインストリーミング法」の実施プロセス この決定は、カナダ議会が成立させた「オンラインストリーミング法(Online Streaming Act)

」の実施の一環として行われたものだ。同法は、デジタルプラットフォームにもカナダの放送規制の枠組みを適用することを目的としており、CRTCは段階的に詳細ルールを策定してきた。

CRTCはプレスリリースの中で、今回の拠出義務により「カナダおよび先住民のコンテンツ、とりわけフランス語コンテンツやニュース番組を支援するための資金が20億ドル超の水準で安定化する見込みだ」と述べている。

拠出金の使途に関する詳細ルール

CRTCは拠出金の使い道についても具体的なルールを設定した。ストリーミング事業者の財政的拠出の大部分はコンテンツ制作に充てることができるが、最大手の事業者に対しては資金の使途に関する規制が課される。 具体的には、カナダ国内での年間収入が1億ドルを超えるストリーミング事業者は、支出の30%をカナダの放送事業者や独立プロデューサーとのパートナーシップに充てなければならない。また、大手カナダ放送事業者については、拠出額の少なくとも15%をニュース番組に割り当てることが義務付けられる。 これらの新たな拠出ルールが適用されるのは、カナダ国内における年間放送収入が2500万ドル以上のストリーミング事業者および放送事業者だ。規制の対象となるのは視聴覚番組であり、従来型のテレビ放送事業者とテレビコンテンツを配信するオンラインサービスの両方が含まれる。

コンテンツの可視性に関する新要件

CRTCは同日、ストリーミング事業者に対し、カナダおよび先住民のコンテンツが視聴者にとって利用可能かつ視認性の高い状態で提供されるよう措置を講じることも義務付けた。CRTCは声明の中で「これにより、人々が利用するプラットフォーム上でそのようなコンテンツが見つけやすくなる。同時に、放送事業者には新しい期待を満たす方法の柔軟性が与えられる」と説明している。ただし、この可視性要件の詳細は今後決定される予定だ。

米カナダ間の貿易摩擦の火種 この規制は単なる国内政策にとどまらない。米国政府は「オンラインストリーミング法」を貿易上の懸念事項(trade irritant)

として指定しており、カナダとの貿易交渉の争点の一つとして位置付けている。北米の貿易関係が再編される中、デジタルコンテンツ規制が国際的な外交問題に発展している点は見逃せない。

ストリーミング業界への影響と今後

今回のCRTCの決定は、グローバルに展開するストリーミング事業者にとって、特定の市場でのコンテンツ投資義務がいかに拡大しうるかを示す象徴的な事例となる。15%という拠出率は、従来型放送事業者と比較すればまだ低いものの、5%から一気に3倍に引き上げられたという事実は、規制当局の姿勢が強硬であることを示している。 Netflixをはじめとする主要ストリーミング事業者がこの新規則にどう対応するか、そして法廷で争われている5%義務への異議申し立てがどのような結末を迎えるかは、今後も注視が必要だ。デジタル時代におけるコンテンツ規制のあり方は、各国の模索が続く中で、カナダのこの動きは世界の規制当局にとっても重要な参考事例となるだろう。 ---

よくある質問

カナダのCRTCがストリーミング事業者に求める拠出率はいつから15%になったのか?
CRTCは2026年5月22日にこの決定を発表した。2024年に設定された5%の当初義務を大幅に引き上げるもので、対象となるのはカナダ国内で年間2500万ドル以上の放送収入を持つ事業者だ。
この規制は日本や他の国のストリーミングサービスにも影響するのか?
直接的な適用対象はカナダ国内の放送収入を持つ事業者だが、NetflixやAmazon、Appleなどグローバル展開する事業者にとっては、カナダ市場での運営コストが増大する。同様の規制が他国でも波及する可能性もあり、業界全体への影響が注目されている。
ストリーミング事業者の拠出金はどのように使われるのか?
カナダおよび先住民のコンテンツ制作支援に充てられる。年間収入1億ドル超の事業者は支出の30%をカナダの放送事業者や独立プロデューサーとのパートナーシップに割り当てる必要がある。フランス語コンテンツやニュース番組の支援も重要な用途とされている。
出典: Slashdot

コメント

← トップへ戻る