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米国の学力低下、13年間の下降傾向続く 研究者がソーシャルメディアを要因に挙げる

スタンフォード大学の研究により、米国の数学と読解スコアが13年間にわたり低下傾向にあることが判明。研究者はテストの減少と青少年のソーシャルメディア利用増加を主要因として指摘している。

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米国の学力低下、13年間の下降傾向続く 研究者がソーシャルメディアを要因に挙げる
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米国の学力スコア、13年連続の低下──研究者は「テスト減少」と「ソーシャルメディア」を指摘

米国の学校教育において、数学と読解力のテストスコアが長期的な低下傾向にあることが、スタンフォード大学の研究チームによる新たなデータで明らかになった。これは単なる一時的な現象ではなく、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前から始まっていた「学力後退」が継続していることを示唆するものだ。

スコア低下の実態

タイム誌が報じたこのデータによると、2025年の読解スコアは2015年と比較して約0.6学年分低下しており、数学スコアは約0.4学年分の低下となっている。これは、現在の生徒たちが読解力で10年前の同年代の生徒たちから約60%の1学年分、数学で約40%の1学年分、遅れを取っていることを意味する。

特に注目すべきは、この低下傾向がパンデミックによる「学習損失」の物語を塗り替えるものだという点だ。ハーバード大学教育政策研究センターの学術ディレクターであるトム・ケイン教授は、「パンデミックは、生徒の学力において7年間続いていた侵食の後に起きた地すべりのようなものだ」と表現する。つまり、危機は既に進行中の問題を加速させたに過ぎないというのだ。

低下の背景にある二つの大きな変化

研究チームは、この学力低下の時期が、米国の子供時代と教育政策における二つの大きな変化と重なっていることを指摘している。

一つ目は、「一人も見捨てない(No Child Left Behind)」時代に特徴的だった、テストに基づくアカウンタビリティ(説明責任)システムが広範にわたって解体されたことだ。教育成果をテストスコアで測り、学校を評価する仕組みが後退した背景には、教育の多様化や評価方法の見直しといった動きがあったとみられる。

二つ目が、青少年の間でのソーシャルメディア利用の急激な普及である。ケイン教授は、学力低下が始まった時期が「十代の若者の間でソーシャルメディアの使用が爆発的に増加した時期と一致している」と指摘する。この現象は米国だけでなく、他の多くの国でも観察されているという。

特に読解スコアの一貫した低下とソーシャルメディアの関連性を、教授は重視している。ソーシャルメディアの使用が、学力が最も低い生徒の間で最も顕著に見られたことが、調査で示されているのだ。短文や画像、動画が主流のソーシャルメディア環境では、長文を読み解く深い読解力を育む機会が減少している可能性が示唆される。

現在の課題と対策の動き

現在、全国調査における8年生の読解スコアは1990年以来の最低水準にある。さらに、慢性欠席も学力改善の大きな障壁となっている。パンデミックのピーク時からは減少したものの、2024-25学年には23%の生徒が慢性欠席状態にあり、パンデミック前の15%を大きく上回っている。

一方で、前向きな動きもないわけではない。AP通信は、一部の州や学区が進歩を遂げていると伝える。その主な要因として、フォニックス(発音指導)に基づく教育への転換や、学習支援の強化が挙げられている。これは、従来の全体的な読解指導から、文字と音の対応を教える基礎的なアプローチへの回帰を意味する場合がある。

この研究結果は、教育におけるテクノロジーの影響を再考する機会を提供する。単にデバイスやインターネットへのアクセスを提供するだけではなく、その利用が子供たちの認知能力、特に深い思考や読解力にどのような影響を与えうるかを、教育現場と家庭が共に考える必要性を突きつけている。

よくある質問

この研究で指摘されている「ソーシャルメディアの影響」とは具体的にどのようなものですか?
研究者によると、学力低下が始まった時期と、青少年のソーシャルメディア利用が急増した時期が一致している点が重要視されています。特に、学力が低い生徒ほどソーシャルメディアの使用量が多い傾向が見られ、短いテキストや画像為主的な利用形態が、長文を読み解く深い読解力を育む機会を減少させている可能性が指摘されています。
学力低下を食い止めるために有効とされている対策はありますか?
報告によると、一部の州や学区で進歩が見られる場合があり、その主な取り組みとして「フォニックス(発音指導)に基づく教育への転換」や「生徒への追加学習支援の提供」が挙げられています。これは、読みの基礎となる文字と音の関係をしっかりと教える指導法への回帰や、個別の学習ニーズに対応する支援の強化を意味しています。
出典: Slashdot

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