Google I/O 2026主要発表まとめ、Gemini 3.5 Flashやエージェント機能
Google I/O 2026開発者カンファレンスの主要発表を徹底まとめ。Gemini 3.5 Flashの高性能化、パーソナルAIエージェント「Gemini Spark」、検索AIの大規模アップグレードなど注目ポイントを網羅する。
Google I/O 2026が開幕、半年分の情報を一気に放出 2026年5月20日未明(日本時間)、Googleは年次開発者カンファレンス「Google I/O 2026」
を開催した。ここ半年ほど、生成AI分野ではOpenAIやAnthropicなど他社の発表が目立っていたが、Googleは情報を溜め込んでI/Oで一気に公開するスタイルを貫いている。今年もその伝統に違わず、AIモデルからエコシステム、エージェント、インフラまで、膨大な発表が行われた。
本記事では、その中でも特に注目すべきポイントを整理する。
AIコアモデルの進化
Gemini 3.5 Flash:小型モデルが前世代フラッグシップを上回る
今回の目玉の一つが、Gemini 3.5 Flashの正式発表だ。Flashシリーズは従来、軽量・高速・低価格を売りにしたサブフラッグシップモデルという位置づけだった。しかし、新世代の小型モデルが前世代の大型モデルを性能面で上回るという業界トレンドを受け、3.5 Flashは前世代の3.1 Proを複数のベンチマークで大幅に上回る結果を見せている。 具体的には、コーディング能力を測るTerminal-Bench 2.1テストで76.2%を記録し、3.1 Proの70.3%を引き離した。実世界の経済的価値を測るGDPval-AAベンチマークでは、3.5 Flashが1656 Eloを記録し、3.1 Proの1314 Eloを300ポイント以上も上回った。エージェント機能やツール連携能力においても、前世代を大きく凌駕している。 ただし、すべての面で優れているわけではない。世界知識と純粋な抽象推論をテストするHumanity’s Last Examでは40.2%にとどまり、3.1 Proの44.4%を下回った。ARC-AGI-2でも72.1%と、3.1 Proの77.1%に及ばない。つまり、知識や抽象推論よりも、実務的な能力を重点的に強化したモデルと言えるだろう。 出力速度は他の最先端モデルの4倍とされており、価格は入力が100万トークンあたり1.50ドル、出力が同9.00ドルで、3.1 Proより40%安い。コンテキストウィンドウは100万トークン、知識のカットオフは2025年1月となっている。本日よりGeminiアプリと検索AIモードのデフォルトモデルとして利用可能になり、APIも公開された。また、Gemini 3.5 Proは来月リリース予定だ。 #
Gemini Omni Flash:マルチモーダル生成の新戦力 もう一つ注目されるのが、Gemini Omni Flashの登場だ。
これは任意の入力に基づいてコンテンツを生成できるマルチモーダルモデルで、動画生成分野ではSeedance 2.0と唯一対抗できる存在と位置づけられている。動画の一部を固定したまま他の部分を修正する機能も備えるが、実際の体験品質については改善の余地があるとの声もある。Omni
Proは後日リリースされる予定だ。
Geminiエコシステムの全面刷新
Geminiアプリの大幅リデザイン Geminiアプリは、新しい「Neural Expressive」デザイン言語を採用し、インターフェイスが一新された。
青いグラデーション背景が特徴的で、機能入口は「+」記号に統合されている。新たに思考レベルの調整機能が追加され、ユーザーがAIの推論の深さをカスタマイズできるようになった。同時に使用量制限も新設され、本日より全世界で公開されている。 #
主要Google製品へのAI機能統合 Google
Mapsには「Ask Maps」機能が追加され、自然言語で複雑な道順や場所の問い合わせが可能になった。YouTubeには「Ask YouTube」が登場し、動画の内容に基づいて直接質問に答え、該当するシーンを特定してくれる。 Google Docsは音声でのリアルタイム作成をサポートし、音声インタラクションだけで文書の生成・整理ができるようになった。Pro/Ultraサブスクライバー向けに今年夏に開放予定だ。 また、パーソナライズされた朝刊サマリー機能「Daily Brief」が発表され、本日よりアメリカのサブスクライバーに提供が開始されている。 #
NotebookLMの深いアップデート
NotebookLMにも大きなアップデートが入った。動画概要の生成、複数スタイルのインフォグラフィック作成、デバイス間での学習進捗同期が追加された。Geminiアプリとの連携も強化され、EPUBファイルのアップロードやPPTX形式でのエクスポートが可能になった。Google Classroomにも接続され、教育現場での活用が期待される。
エージェントシステムがI/O 2026の中心テーマ
Antigravity 2.0:開発プラットフォームの大幅進化
今回の発表会の核を成すのが、エージェントシステムの充実だ。開発プラットフォーム「Antigravity 2.0」は、独立したデスクトップアプリケーションとCLIが新たに発表され、2026年6月18日に旧Gemini CLIに代わって導入される。SDKも公開され、開発者が独自にデプロイできるようになる。 音声能力がネイティブに統合され、最適化されたGemini 3.5 Flashと組み合わせることで処理速度は最大12倍に向上する。デモでは、93個の並列サブエージェントが12時間稼働し、1.5万回のモデルリクエスト、26億トークンを処理しながら、OSをゼロから構築した様子が披露された。そのコストはわずか1000ドル未満だったという。 #
Gemini Spark:24時間稼働するパーソナルAIエージェント 「Gemini Spark」は、Google
Cloud専用の仮想マシン上で動作し、24時間バックグラウンドでタスクを処理するパーソナルAIエージェントだ。Googleファミリーと連携し、メールのまとめやイベントの準備など、長時間かかる作業を自動化できる。 サブスクリプション体系も調整され、月額100ドルからのUltraサブスクリプションで利用可能になる。来週よりアメリカのUltraサブスクライバーを対象にベータテストが開始される。 #
Android Halo:Android向けエージェント専用レイヤー Android向けには「Android Halo」が同時発表された。
これはエージェント専用のバックグラウンドレイヤーで、ステータスバーにエージェントの進捗をリアルタイムで表示する。Android初のエージェント向けUIレイヤーであり、アプリ向けではない点が特徴だ。今年後半にリリース予定だ。
新分野の展開とインフラ整備
生成型クリエイティブツールの拡充 画像作成ツール「Google Pics」が発表され、単一要素の編集をサポートする。AIソースの透かしが自動追加される点も特徴的だ。
UI設計ツール「Stitch」には、リアルタイムの音声コラボレーション機能とワンクリック公開機能が追加された。 Google
FlowはGemini Omniと連携し、マルチアングル動画の一括生成や全シーンの修正をサポートする。新たに「Flow Music」も発表され、断片的な音声から完全な編曲を生成可能になった。クリエイティブワークフロー全体をカバーするエコシステムの構築を目指している。 AI透かし技術のSynthIDには、Chromeでの右クリック検索機能が追加された。OpenAIなど主要メーカーも協力し、AI生成コンテンツの規範化を推進していく方針だ。 #
検索AIの大規模アップグレード Google検索AIモードの月間アクティブユーザーは10億を突破し、クエリ量は四半期ごとに倍増している。
基盤がGemini 3.5にアップグレードされ、検索ボックスは25年来最大の刷新を迎えた。マルチモーダル入力と自動質問補完をサポートし、AI要約と会話モードが統合された。 バックグラウンド検索エージェントも新設され、情報の継続的な監視が可能になる。さらに「Agentic Coding」が発表され、リアルタイムでインタラクティブな可視化結果を生成する。今年夏に全ユーザーに無料開放予定で、1998年以来の検索プロダクト最大の進化と称されている。 #
エージェントECインフラの実装 汎用ECプロトコル「UCP」が発表された。AmazonやMicrosoftなど主要メーカーが技術委員会に参加しており、アメリカから複数の国へ拡大予定だ。
支払い承認プロトコル「AP2」も導入され、消費者保護のガードレールが設定されている。 クロスプラットフォームスマートカート「Universal Cart」が発表され、シナリオ間でのカート追加をサポートする。自動割引検索や商品互換性チェックも可能で、今年夏にアメリカでリリース予定だ。 #
その他の主要発表 Android XR向けの初のオーディオグラスが今秋リリース予定で、AIインタラクションとクロスデバイス操作をサポートする。
第8世代TPUは、初めて訓練と推論の二系統化を実現した。訓練チップの演算能力は前世代の3倍で、世界中の100個以上のTPUにまたがる拡張をサポートする。推論チップは約1500トークン/秒の生成速度を実現している。 「Gemini for Science」科学研究ツールセットも発表され、より精密なAI天気予報「Weather Next」が提供される。AI創薬プロジェクトの複数が臨床前段階に進入し、コード脆弱性の自動修復ツール「Code Mender」のオープンテストも開始された。
まとめ:GoogleのAI戦略が明確に Google I/O 2026を通じて、同社のAI戦略がより明確になったと言えるだろう。
単に高性能なモデルを提供するだけでなく、エージェントシステムを中心としたエコシステム全体の構築に力を入れていることが見て取れる。特に、24時間稼働するパーソナルエージェントや、Android
HaloのようなOSレベルでのエージェント統合は、ユーザーとのインターフェースを根本から変える可能性を秘めている。 Gemini 3.5 Flashのように、小型モデルが前世代の大型モデルを上回るというトレンドは、AIの民主化と利用コストの低減に直結する重要な進展だ。検索AIの10億MAU達成も、AIが既にメインストリームの技術になったことを示唆している。 今後、Gemini 3.5 Proの来月リリースやOmni Proの登場、Android XRグラスの発売など、さらに動きが加速する見込みだ。Googleが溜め込んだ情報の一斉放出は、今後の業界の方向性を占う上で重要な指標となるだろう。
よくある質問
- Gemini 3.5 Flashは前世代の3.1 Proより優れているのか?
- コーディングやエージェント機能、ツール連携では大幅に上回り、Terminal-Bench 2.1で76.2%(3.1 Proは70.3%)を記録した。ただし、世界知識と抽象推論ではやや劣る部分もあり、実務能力に特化したモデルと言える。
- Gemini Sparkとは何をするサービスなのか?
- Google Cloud専用VM上で24時間稼働するパーソナルAIエージェントで、メールのまとめやイベント準備など長時間かかるタスクを自動化する。Ultraサブスクライバー向けに月額100ドルから提供される。
- 検索AIモードの10億MAUはどの程度の規模か?
- Google検索AIモードの月間アクティブユーザーが10億を突破し、クエリ量は四半期ごとに倍増している。25年来最大の検索ボックス刷新が行われ、今年夏に全ユーザーに無料開放予定だ。
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