Elon MuskのOpenAI訴訟、陪審が時効で却下
カリフォルニアの連邦陪審が、Elon MuskによるOpenAI訴訟の全請求を却下。時効成立が理由で、OpenAIの非営利から営利への移行を巡る法廷闘争は幕を閉じた。
5月18日、カリフォルニア州オークランドの連邦陪審は、Elon MuskがOpenAIおよびSam AltmanCEO、共同創業者のGreg Brockman、Microsoftに対して起こした訴訟について、全会一致で全請求を棄却した。9人の陪審員は、Muskの提訴が時効に抵触していると判断。審理は午前8時30分に始まり、わずか2時間も経たない10時23分には評決に達した。Yvonne Gonzalez Rogers判事は直ちにこの評決を自身の判断として受け入れた。
Muskは、OpenAIの非営利部門に対し約1300億ドルの損害賠償、AltmanとBrockmanの経営陣からの解任、そしてOpenAIを現在8520億ドル相当の企業に変貌させた営利事業の解体を求めていた。しかし陪審は時効問題を優先したため、AltmanとBrockmanが元々の非営利ミッションに対する義務に違反したかどうかの本案には立ち入らなかった。
裁判の焦点は、Muskがいつ問題を認識したかにあった。カリフォルニア州法では、慈善信託に関する請求は3年、不当利得に関する請求は2年の時効期間が設定されている。Muskは証言で、Altmanの長年にわたる説明を信じていたため訴訟を控えたが、2023年にMicrosoftがOpenAIの営利部門に100億ドルを投資したのを機に、慈善団体が「奪われた」と確信したと述べた。
一方、OpenAI側の弁護士は、Muskが少なくとも2017年には営利移行を知っており、自らもファミリーオフィスを通じてOpenAIの営利版となる会社を登記していたと反論。「陪審の判断を裏付ける相当な証拠があり、私も即座に棄却する用意があった」とGonzalez Rogers判事は評決後に述べた。
Muskの弁護団は控訴の権利を留保しているが、判事は時効問題が事実認定であり法的判断ではないため、控訴は困難だろうと示唆した。この評決により、OpenAIが非営利から営利の公益法人へと再編する過程で直面していた最大の法的障壁が取り除かれた。
OpenAIは3月に、Nvidiaから300億ドル、Amazonから500億ドル、SoftBankから300億ドルを含む1220億ドルの資金調達を完了。評価額は8520億ドルに達している。同社は2026年第4四半期のIPO(新規株式公開)を視野に入れているが、PitchBookのアナリストは、コスト構造と長期的なインフラ負担(1兆1500億ドル)を考慮すると、時期は2027年にずれ込む可能性があると指摘している。
この判決は、OpenAIの営利化を巡る長期にわたる法的混乱に一区切りをつけるものだ。AI業界の勢力図が大きく動くなか、Muskの訴えが却下されたことで、OpenAIは資金調達と事業拡大にさらに注力できる環境が整った。ただし、Muskが控訴に踏み切るかどうか、そして今後のOpenAIのガバナンスがどのように進化するかは、引き続き注視が必要だ。
よくある質問
- なぜElon MuskのOpenAI訴訟は却下されたのですか?
- 連邦陪審は、MuskがOpenAIの営利移行を知ってから提訴までの期間がカリフォルニア州の時効(慈善信託で3年、不当利得で2年)を超えていると判断しました。陪審は全会一致で時効成立を認めたため、訴訟の内容そのものには踏み込まずに棄却されました。
- この訴訟が却下されたことでOpenAIにどのような影響がありますか?
- OpenAIの非営利から営利公益法人への再編を阻む最大の法的リスクが取り除かれました。同社は1220億ドルの大型資金調達を背景に、2026年後半のIPOを検討しています。訴訟の終結により、事業拡大や資金調達に集中できる環境が整いました。
- Elon Muskは控訴する可能性がありますか?
- Muskの弁護団は控訴の権利を留保していますが、判事は時効問題が事実認定であるため控訴は困難だろうと指摘しています。ただし、Muskがこれまで数多くの訴訟で積極的に控訴してきた経緯から、今後の動きは予断を許しません。
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