国境での電子機器捜索に令状要求か、EFFが第四巡回裁判所に提言
電子フロンティア財団(EFF)など人権団体が、税関職員によるスマートフォンなどの無令状捜索は憲法違反だとして、連邦控訴裁判所に意見書を提出した。
国境における電子機器の無令状捜索が争点に
電子フロンティア財団(EFF)は5月11日、全米規模の公民的自由連合(ACLU)や全米刑事弁護人協会(NACDL)などと共に、米国第四巡回区控訴裁判所に意見書(amicus brief)を提出した。米国憲法修正第4条に基づき、国境での電子機器捜索には令状を必要とするよう求める内容だ。EFFはこの主張を、裁判所や議会で約10年にわたり展開してきた。
第四巡回裁判所は5月8日、この問題に関する口頭弁論を実施した。コロンビア大学ナイト第一修正研究所やジャーナリスト委員会も、捜索が表現の自由に与える影響に焦点を当てた意見書を提出している。
争われている「U.S. v. Belmonte Cardozo」事件
問題となっているのは「U.S. v. Belmonte Cardozo」事件である。この事件では、ボリビアからワシントンD.C.近郊のダレス空港に到着した米国市民のスマートフォンが、手動で捜索された。この人物は渡航前から当局の監視対象となっており、二次検査の対象とされていた。
税関職員は彼のスマートフォンから児童性的虐待資料(CSAM)を発見し、彼はその後逮捕・起訴された。地裁は、令状なしに行われた電話捜索で得られた画像やデータの証拠排除を求める被告の申し立てを棄却した。彼は最終的に、ソーシャルメディアを使って未成年者にわいせつな写真を送らせるよう誘惑したとして、児童ポルノや未成年者の性的搾取の罪で有罪判決を受けた。
急増する無令状捜索とプライバシー侵害
国境における無令状の電子機器捜索は増加傾向にあり、それがもたらすプライバシー侵害は深刻さを増している。2025会計年度に、米国税関・国境警備局(CBP)が行った電子機器の検索は55,318件に上る。これには手動(「基本」)検索と鑑識(「高度」)検索の両方が含まれる。
手動検索は、職員がタッチスクリーンやマウスでデバイスを操作するものだ。鑑識検索は、旅行者のデバイスに別の機器を接続し、ソフトウェアを使ってデータを抽出・分析し、デバイス所有者の活動や通信に関する詳細なレポートを作成する。
しかし、いずれの方法もプライバシーへの侵入度は極めて高い。税関職員は、個人の政治的所属、宗教的信念や実践、性的指向や恋愛関係、経済状態、健康状態、家族や職業上の人的関係など、最も私的な側面を明らかにする可能性のあるデータにアクセスできるからだ。
EFFの主張:捜索方法に関わらず令状を
EFFは意見書の中で、第四巡回裁判所が手動検索と鑑識検索の両方に同じ法的基準を適用すべきだと主張した。その基準とは、中立的な判事によって発行され、相当な根拠(probable cause)に基づく令状であるべきだという。
電子機器に保存された情報の極めて私的な性質から、捜索方法ごとに異なる法的基準を設けるべきではないとEFFは指摘する。政府が特定の旅行者の wrongdoing を示す証拠がデバイスから見つかる可能性について、信頼できる初步的証拠を提供しているかどうかを判事が判断すべきだというのである。
この意見書は、デジタル時代におけるプライバシー権の境界を画する重要な法的争点を浮き彫りにしている。判決が令状要件を支持するものとなれば、国境警備当局の捜索手法に大きな制約が課されることになる。
よくある質問
- 国境での電子機器捜索に令状が必要とされるのはなぜですか?
- スマートフォンやラップトップには、個人の思想信条、健康状態、人間関係など極めて私的な情報が大量に保存されています。EFFなどは、これらにアクセスすることは憲法修正第4条が保護する「不合理な捜索・差押え」に当たると主張しています。無令状での捜索を許せば、政府が根拠なく市民のプライバシーを侵害する危険があるためです。
- この主張が認められると、旅行者はどう変わりますか?
- 仮に裁判所が令状要件を認めた場合、税関職員が旅行者の電子機器を捜索するには、裁判官から令状を得るための「相当な根拠」を示す必要が生じます。単に「疑わしい」という理由だけでは捜索できなくなる可能性があり、一般人のプライバシー保護が強化されることが期待されます。ただし、国家安全保障に関わるような例外的な場合の扱いが今後の争点となるでしょう。
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