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AMD B650拡張カード登場 PCIeでM.2×4とUSB 11ポート追加

WisdPiとMinisforumがAMD Promontory 21チップセットを搭載したPCIe拡張カードを発表。PCIeスロット1つでM.2スロット4基、最大11のUSBポートを追加できる。

10分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

AMD B650拡張カード登場 PCIeでM.2×4とUSB 11ポート追加
Photo by Vladimir Malyutin on Unsplash

AMDのB650チップセットをPCI Expressカードに搭載した拡張製品が、相次いで市場に登場している。Tom’s Hardwareの報道によれば、WisdPiとMinisforumの2社が、いわゆる「チップセット拡張カード」をリリースまたは発表した。これらの製品は、PCIeスロット1つを消費するだけで、M.2 NVMeスロット4基や多数のUSBポートを追加できるという、PC自作愛好家にとって極めて実用的なソリューションである。

拡張カードの背景にある技術

この製品群の中心にあるのは、AMDのPromontory 21チップセットだ。現代のPCにおいて、CPU(SoC)自体にメモリコントローラやPCIeレーンなどの基本機能が統合されていることは広く知られている。そのため、チップセットは本質的に「PCIeに接続されたI/Oハブ」であり、追加のPCIeレーン、USBポート、SATAポートなどを提供する役割を担っている。

Promontory 21はこの典型で、AMDはハイエンドのX670チップセットを、この同じPromontory 21を2基直列に接続することで実現している。つまり、B650とX670の本質的な差は、単にこのチップを1つ使うか2つ使うかの違いに過ぎない。この特性を利用し、PCIeスロットに差すだけでチップセットと同様のI/O拡張ができるカードが、これまでも一部のマニア向けに存在していた。今回、WisdPiとMinisforumがそれを一般市場向けの製品として具体化した格好だ。

WisdPi「PROM21」の全容

WisdPiが販売を開始した「PROM21 All In Expansion Card」は、ロープロファイル(ハーフハイト)対応のPCI Express 4.0アドインカードである。Tom’s Hardwareの記事によれば、その拡張性は多くの市販マザーボードを凌ぐものだ。

具体的なインターフェースは以下の通り:

  • M.2スロット:4基(PCIe 4.0対応。2基はカード表面、2基は裏面に実装)
  • USB 10Gbpsポート:5基
  • USB 2.0ポート:6基
  • OCuLinkポート:1基(PCIe 4.0またはSATA 4ポートとして利用可能)

合計11ものUSBポートを備え、加えてOCuLinkによる外部ストレージ接続やレガシーSATAデバイスの接続も可能だ。価格は199ドル。ただし、ケーブル類は別途用意する必要がある。カード表面には大型の黒いヒートシンクが搭載されており、Promontory 21チップの冷却を担う。

注目すべきは、裏面に実装された2基のM.2スロットの冷却方法だ。カード裏面にSSDを取り付ける設計のため、PCケース内のエアフロー次第では放熱に注意が必要となるだろう。エンジニアは、裏面M.2スロットを使用する際の冷却対策を考慮する必要がある。

Minisforum製カードの特徴

Minisforumは、Computex 2026のブースで同様のコンセプトの拡張カードを出展した。PC Watchの取材で明らかになったものだ。WisdPi製品と比較して、Minisforumのカードは若幹異なるポート構成を採用している。

MinisforumカードもM.2スロット4基とOCuLinkコネクタを備えるが、WisdPi製品にあった5基のUSB 10Gbpsポートや6基のUSB 2.0ポートは搭載されていない。代わりに、少なくとも1つの高速USB 20Gbpsポートを備えている。SATA機能も省略されている模様だ。カード自体に専用の動作ファンが搭載される可能性が、Tom’s Hardwareの記事では示唆されている。

実用シーンと互換性

これらのカードは、AMDプラットフォームだけでなく、IntelやArmベースのシステムでも使用できる。WisdPiによれば、同製品はPCIeインターフェースを持つあらゆるデバイスと互換性があり、特にRaspberry Piのようなシングルボードコンピュータ(SBC)での利用も想定している。実際、WisdPiは主にRaspberry Pi向けアクセサリを手がけるメーカーであり、SBCにPCIeスロットを増設したいユーザーを明確にターゲットとしている。

利用シーンとしては、以下のようなケースが考えられる。

  • Mini PCのI/O強化:特にThunderboltやUSB4非対応のMini PCで、PCIeスロットが空いている場合、内部にこのカードを追加することで、NVMeストレージとUSBポートを大幅に拡張できる。
  • SBCの本格ストレージ化:Raspberry Pi CM4など、PCIeレーンを持つSBCに接続し、高速なNVMeストレージを複数搭載したNASやサーバーを構築する。
  • マザーボード故障時のI/O回復:チップセット機能が故障したマザーボードでも、CPU直結のPCIeスロットが生きていれば、このカードでI/O機能を回復できる可能性がある。

パフォーマンス上の留意点

Promontory 21は、CPUとの接続にPCI Express 4.0 x4リンクを使用する。つまり、この拡張カードに接続されたすべてのデバイスの合計帯域幅は、最大で約8GB/s(PCIe 4.0 x4の理論値)に制限される。

4基のM.2 NVMe SSDのピーク性能を同時に引き出すことは難しい。特に、全スロットに高速なGen4 SSDを装着して同時にベンチマークを実行すれば、帯域幅がボトルネックとなる。しかし、ストレージサーバーや日常的な使用において、4基のSSDが常にフル帯域を消費することは稀であり、実用上の問題は限定的と言える。USBポートやSATAポートの同時使用も、この帯域幅を共有することになるため、システム設計時には考慮が必要だ。

既存製品との比較

この手のカードは今回が初めてではない。過去にはASUSやASRockが、特定のマザーボード向けにB650からX670への「アップグレード」を目的とした拡張カードを提供している。また、オープンソースコミュニティでも、同じ目的のプロジェクトが存在する。

今回のWisdPiとMinisforumの製品は、特定のマザーボードに依存せず、汎用的なPCIeスロットに差すだけで動作する点で、より幅広いユーザーにとって魅力的な選択肢となる。価格面でも199ドルは、M.2拡張カードとUSBハブを個別に購入するのと比較しても、競争力のある価格設定と言える。

編集部の見解

短期的影響:今回の拡張カードは、PCIeスロットが余っているがI/Oポートが不足しているシステム、特にMini PCやワークステーションにとって、有力なアップグレード手段となる。今後3〜6ヶ月で、AmazonやAliExpressなどで同様の製品がさらに増え、価格競争が起きる可能性が高い。特にWisdPiの199ドルという価格は、競合製品の価格設定に圧力をかけるだろう。エンジニアは、システムのI/O要件を満たす手段として、このカテゴリの製品を評価すべきだ。

長期的視点:チップセットを汎用I/OコントローラとしてPCIeカード化するこのトレンドは、PCアーキテクチャのFluid化(柔軟化)を示す一例と評価できる。CPUとチップセットの役割分担が明確になったことで、ユーザーは好きなだけI/Oを追加できる時代が到来しつつある。1〜3年のスパンで見れば、標準化されたモジュラーI/Oシステムが、自作PCや産業用PCの設計思想に影響を与える可能性がある。USB4やThunderboltの普及が進むにつれ、この種のPCIeカードの需要がどう変化するか、注視する必要がある。

編集部からの問い:本製品を導入する際、M.2スロットやUSBポートの実際の利用頻度と、PCIe 4.0 x4という帯域幅の制約をどう評価すべきか。また、SBCユーザーにとっては、Raspberry Piのような電力供給が限定的な環境で、このカードが安定動作するのかという未検証の論点が残る。読者の皆様は、実際の利用シーンでどのような課題に直面すると予想されるだろうか。

参考

よくある質問

この拡張カードはAMD以外のCPU(IntelやArm)でも使えますか?
はい、完全に汎用的なPCI Expressデバイスとして動作します。WisdPiは特にRaspberry Piを含むあらゆるPCIeデバイスとの互換性を謳っています。ただし、Legacy BIOSしかサポートしていない古いシステムでは、NVMe SSDからのブートなどに制限がある場合があります。
4つのM.2スロットすべてにNVMe SSDを搭載した場合、速度は十分ですか?
理論上の上限はPCIe 4.0 x4の帯域幅(約8GB/s)です。4台のSSDを同時にフルスピードで使用することはできませんが、日常的な使用やストレージサーバー用途では、同時に高負荷がかかることは稀なため、実用上の問題は少ないと言えます。
このカードを使用する際、他に何が必要ですか?
カード本体(199ドル)と、PCIeスロットが1つ空いているPC、またはRaspberry PiのようなPCIeインターフェースを持つSBCが必要です。カードにケーブル類は付属しないため、M.2 SSDを取り付ける場合やOCuLink/SATAポートを使用する場合は、別途ケーブルを用意する必要があります。
出典: Tom's Hardware

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